1995 Fiscal Year Annual Research Report
酵母液胞型プロトン輸送性ATP分解酵素複合体の分子構築に関する研究
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07772203
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
平田 龍吾 理化学研究所, 動物・細胞システム研究室, 研究員 (60260197)
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Keywords | 酵母 / 液胞型ATPase / H^+-ATPase / 液胞 / 酸性化 / サブユニット |
Research Abstract |
酵母液胞膜V-ATPaseの17-kDaプロテオリピドサブユニットは、VMA3遺伝子にコードされているが、VMA3遺伝子には相同的な遺伝子VMA11とPPA1が存在する。これらVMA3相同遺伝子産物の機能に関する解析を行った。 プロテオリピドサブユニットには、プロトンの輸送に直接機能していると考えられている保存性グルタミン酸残基がある。Vma11pとPpa1p上の保存性グルタミン酸残基の変異株を構築して解析した。その結果、これらの遺伝子産物でもこの位置に酸性残基があることが活性に重要であり、Vma11とPpa1pもVma3pと同様にプロトン輸送に機能している可能性が示唆された。次に、それぞれの遺伝子産物のC末端に9〜10アミノ酸のエピトープを融合した融合タンパク質を発現する組換え体を構築した。融合タンパク質はいずれも機能的であり、ウエスタン法および間接蛍光抗体法によってそのいずれもが液胞に局在し、なおかつ液胞膜V-ATPase複合体に含まれることを認めた。すなわち、酵母液胞膜V-ATPaseの活性には、構造的、機能的に相同的な3種のプロテオリピドサブユニットが必要であることが示された。現在、これらサブユニットの機能分担に関する解析を継続している。 液胞型ATPaseは、膜内在性のプロトン輸送路部分(V_0)と、膜表在性の触媒頭部(V_1)から構成されている。野生株では、液胞膜にあるV_0の約50%はV_1と結合せずにV_0部分複合体として存在する。一方、細胞質にはV_1部分複合体のプールが存在する。Vma11pおよびPpa1pの部位特異的変異体では、液胞膜上に野生株と同じサブユニット構成を持つV_0V_1複合体が形成されたが、液胞膜上のV_0のほとんどすべてがV_1を結合していた。この現象は、不活性型の変異株ではどの置換変異の場合にも観察された。変異株に共通の性質は液胞内酸性化の欠損であり、一つの可能性として液胞内酸性化の程度が酵素複合体のアセンブリに影響して活性調節に機能することが考えられた。
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