1995 Fiscal Year Annual Research Report
白血病細胞分化誘導活性を有する生薬成分に関する研究
Project/Area Number |
07772221
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
梅原 薫 静岡県立大学, 薬学部, 助手 (40185070)
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Research Abstract |
これまで我々はマウス骨髄性白血病M1細胞を用いて、報告例の少ない天然物中の分化誘導物質の検索を行い、トリテルペン、フラボン、リグナン、ステロイドに分化誘導活性のあることを報告してきた。トリテルペン、ステロイドは生合成経路が共通であることから互いによく似た構造を有し、またイソフラボンにはエストロジェン作用のあることが知られるなどのその構造と活性の間には興味深い点が多い。近年、ステロイドホルモンレセプター、ビタミンA、Dのレセプター等がクローニングされ分子レベルでステロイドの作用機構が明らかにされつつある。白血病細胞の分化に伴い発現レベルの変化が認められるc-fos、c-jun遺伝子はグルココルチコイドホルモンの作用発現と密接な関係を持つことが知られている。 一方、グルココルチコイドホルモンであるデキサメサゾンは、M1細胞をマクロファージ様細胞に分化させることが知られており、その結果細胞は貪食能、接着性、各種酵素活性等の成熟細胞様の機能を獲得する。そこで薬物投与48時間後のM1細胞の貪食能を指標に、様々なタイプの分化誘導物質の活性を検討した。薬物の接触時間を30分から48時間まで変化させたところ、デキサメサゾン投与群は30分の処理で48時間処理群に匹敵するM1細胞の貪食能獲得が認められたが、トリテルペン、フラボン等の植物由来の分化誘導物質は時間依存的に貪食能の上昇する傾向が観察され、30分処理群は対照群と有意な差を認めなかった。細胞増殖に密接な関連を持つc-myc遺伝子もM1細胞の分化誘導物質処理後、数時間以内にその発現が低下することが知られており、植物由来の分化誘導物質はデキサメサゾンとは異なる機構で細胞の分化誘導を起こしている可能性が示唆された。
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