1995 Fiscal Year Annual Research Report
多機能性蛋白としてのキニノゲンの生体内における役割に関する研究
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07772242
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
林 泉 北里大学, 薬学部, 講師 (90172999)
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Keywords | 高分子キニノゲン / システインプロテアーゼインヒビター / ブラディキニン / バキュロウイルス / 発現 / 昆虫細胞 / カリクレイン・キニン系 / リコンビナント |
Research Abstract |
生理活性ペプチド、ブラディキニンの前駆体蛋白質である高分子キニノゲンの分子内には、シスタチンファミリーとの相同性を有するGln-Val-Val-Ala-Gly (QVVAG)の配列がそのH鎖内の2カ所で保持されている。一方で精製した蛋白の再構成実験では、キニノゲンがシステインプロテアーゼであるパパインと1:1の複合体を形成することによりその酵素活性を阻害することが報告されている。しかしながらH鎖上の2つのQVVAG配列のどちらが実際に機能しているかについては不明であるため、それぞれのドメインのアミノ酸を変異させたミュータントタイプのキニノゲンを作製し、in vitroでインヒビター活性を調べることによって明らかにされることが予想された。そこで本実験においては、バキュロウイルスを用いた昆虫細胞系でリコンビナントのワイルドタイプおよびミュータントタイプの高分子キニノゲンを発現させるためのベクターDNAを作製した。即ち2ヶ所のQVVAG配列を標的とし、(1) 188番目のQからAへの変異、(2) 310番目のQからAへの変異、(3) 188番目および310番目のQからAへの変異を導入するオリゴヌクレオチドを合成し、クローン化したラットの高分子キニノゲンcDNAを鋳型にして3種類のミュータントcDNAをKunkel法により作製した。そしてそれぞれのDNAについてシークエンスを行い、変異の導入を確認した。次にミュータント高分子キニノゲンcDNAをバキュロウイルストランスファー用のベクターであるpVL1393に組み込み、発現プラスミドを構築した。今後リコンビナントキニノゲンをさなぎ卵巣細胞由来Sf9細胞で発現させ精製後、システインプロテアーゼプロテアーゼに対する阻害活性をin vitroで測定する予定である。
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[Publications] Minakata, K., Suzuki, O., Oh-ishi, S., Hayashi, I., Saito, S., Harada, N.: "Acute-phase reactant proteins and antioxidants in rats intoxicated chronically with paraguat." J. Toxicol. Environment. Health. 44. 29-41 (1995)
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[Publications] Hagiwara, Y., Kojima, M., Kuraishi, T., Hayashi, I., Miyata, T., Oh-ishi, S.: "Identification of rat urinary kinin as bradykinin." Life Sciences. 57. 997-1002 (1995)