1995 Fiscal Year Annual Research Report
胃粘膜保護作用における内因性ニューロペプチドとプロスタグランジンの相互作用
Project/Area Number |
07772244
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
大野 隆 北里大学, 医学部, 助手 (60185345)
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Keywords | 胃粘膜微小循環 / Prostaglandin E2 / EP receptor / Neuropeptide / CGRP / Substance P / 1MNaCl |
Research Abstract |
胃粘膜基底部微小血管の反応を以下のとおり解析した。 1. CGRP,Substance P (SP)の胃粘膜微小循環に対する効果: (1)細動脈: CGRPは用量依存的に拡張。SPは変化なし。(2)細静脈(以下集合細静脈を含む) : CGRPは用量依存的にやや拡張。SPは用量依存的に収縮。 2. PGE2の胃粘膜微小循環に対する効果(EPレセプターの解析も含む) : (1)細動脈:用量依存的に拡張(EP2 (EP4)を介する)。(2)細静脈: PGE2は低用量では収縮(EP3を介する)、高用量で拡張に転じた(EP2 (EP4)を介する)。 3.胃壁にPGE2を産性する1MNaCl粘膜投与による効果: (1)細動脈:拡張し、インドメタシンにより約2/3が抑制されたため、PGE2のEP2 (EP4)を介した反応であった。(2)細静脈:やや収縮し、収縮がインドメタシンにより抑制されたためPGE2のEP3を介した反応であった。(以上内因性PGE2の効果) (3) CGRPのアンタゴニストCGRP (8-37)を投与したが1MNaClによる変化には影響なかったことより、1MNaClによる反応にはCGRPは関係ないと推測された。 4. 1MNaCl (粘膜面)投与によるエタノール胃粘膜傷害抑制時の変化: (1)細動脈:エタノール単独投与と変わらず。(2)細静脈:エタノールによる細静脈の収縮は抑制された。またこの抑制はインドメタシンによりほぼ消失したことより、内因性PGE2はエタノールによる細静脈の収縮の抑制には関与していた。 5. CGRPによるエタノール胃粘膜傷害抑制時の変化: (1)細動脈:エタノール単独投与と変わらず。(2)細静脈:エタノールによる細静脈の収縮は抑制された。 今後の展開 傷害面積に関する検討は現在行なっておりまだ結論は出ていない。内因性PGE2それ自体は細静脈を収縮させるのに、エタノールによる収縮に対しては抑制した。CGRPはエタノールによる細動脈の収縮を抑制しており、PGE2によりCGRPが放出され易くなっている可能性がある。よって当初の計画通り進めていく。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T. Ohno: "Capsaicin-induced arteriolar dilatation of the microvasculature in grstric mucosa in due to released calcitonin gene-related peptide, but not to substance P" Gastroenterology. 106. A660- (1995)
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[Publications] 大野隆: "高張食塩水胃内腔投与による胃粘膜微小循環の変化 -内因性プロスタグランジンE_2の役割とEPレセプター-" 実験潰瘍. 23 (in press). (1996)
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[Publications] Takashi Ohno: "Prostaglandin EP receptors of the rat gastric mucosal microvessels in preventation of ethanol-induced mucosal injury by intragastric sodium chloride" Microcirculation Annual. 12 (in press). (1996)
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[Publications] 大野隆: "胃粘膜微小循環に対するプロスタグランジンE_2の作用 -EPレセプターサブタイプの解析-" 日本消化器病学会雑誌. 93 (in press). (1996)
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[Publications] Hiromi Hayashi: "Role of endogenous substance P in ethanol-induced mucosal damage in the rat stomach" Journal of Gastroenterology. 31 (in press). (1996)