1995 Fiscal Year Annual Research Report
水晶振動子を用いたプロテアーゼによるタンパク質汚れ除去過程の追跡
Project/Area Number |
07780015
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
下村 久美子 昭和女子大学, 生活科学部, 講師 (80162816)
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Keywords | 水晶振動子 / タンパク質汚れ / 洗浄 / 酵素活性 / 界面活性剤 / ケラチン / 高分子 / タンパク質分解酵素 |
Research Abstract |
タンパク質汚れの酵素による洗浄過程は、繊維表面の汚れに酵素が吸着され、続いて分解されたタンパク質が脱離する過程であるが、これを直接観測することができれば、洗浄に関する基礎的知見として有用であると考え申請者らは、水晶振動子の電極表面上に付着させたタンパク質が、吸着された酵素により分解され脱離する過程を振動数の変化として追跡することを試みてきた。今年度は、モデルタンパク質としてケラチンを用い次のことを検討した。1.ケラチンの水中での膨潤度と酵素による分解速度を測定したところ、ケラチンはゼラチンや卵白アルブミンに比べ溶液中での膨潤度は低く、酵素による分解が遅いことを確めた。2.ケラチンへの界面活性剤の吸着、および界面活性剤共存系での酵素の吸着とそれに続く除去過程を追跡した。その結果、陰イオン界面活性剤は低い濃度から吸着がおこり、cmc1/2、cmcで酵素による分解速度は最も上昇した。さらに、非イオン界面活性剤の場合は活性剤のみではほとんど吸着されないが濃度の増加と共に酵素による分解速度が上昇することを確認した。3.これらの実験から界面活性剤溶液中に酵素を添加すると、固体タンパク表面に、酵素または酵素/界面活性剤の複合体の吸着量が高まり、それに伴いタンパクの分解速度が高まる過程があることが示唆された。そこで界面活性剤の吸着量を高めると考えられる高分子物質9種を用い、各々添加濃度を変えた溶液中での、ケラチンへの陰イオン界面活性剤(DBS)の吸着と酵素による分解速度について調べた。その結果、界面活性剤無添加系では、ケラチン膜への高分子物の吸着はほとんど認められないが、陰イオン界面活性剤共存系ではcmc濃度で、洗剤のビルダーとして考えられているPM、PVAや疎水性物質の牛血清アルブミンBSAの添加により活性剤の吸着が高まり、酵素による分解速度も2、3倍まで上昇することを確認した。この効果については今後さらに検討していきたい。
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