1995 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンE摂取が運動による赤血球過酸化に及ぼす影響
Project/Area Number |
07780055
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 宏 名古屋工業大学, 工学部, 講師 (10203168)
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Keywords | vitamin E / erythrocyte / lipid peroxidation / endurance training |
Research Abstract |
ビタミンE摂取が激しいトレーニング後の赤血球溶血や新生に及ぼす影響を明らかにするため、長距離選手10人を対象にビタミンEまたはプラシーボ摂取前(T1)、摂取後1ヶ月の合宿直前(T2)、直後(T3)および3週間後(T4)にトレッドミル走による最大運動を実施し、以下の結果を得た。 1)最大酸素摂取量、最大心拍数、血中乳酸濃度はビタミンE摂取(E)群とプラシーボ摂取(P)群に有意な差は認められなかった。2)ビタミンE摂取後、E群の血清ビタミンE濃度はP群に対して有意(p<0.05)に増大、過酸化脂質濃度は低下し、ビタミンE、過酸化脂質濃度ともT2、T3あるいはT4でも、E、P群間に有意(p<0.05またはp<0.01)な差が認められた。また、CK濃度はE、P群ともT3で有意(P<0.05)に増大したが、両群間で有意な差は認められなかった。3)赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリットはE群ではT3で増大する傾向が、P群ではT3で低下する傾向が見られ、T3の安静時ではE群の赤血球はP群に対して有意(p<0.05)に高かった。4)血液比重、2,3-DPG/赤血球濃度は、両群間で有意な差が認められなかった。5)血清ハプトグロビンはP群がT3、T4で有意(p<0.05)に低下し、E群でもやや低下したが、T3の安静時ではE群がP群に対して有意に(p<0.05)高値を示した。しかし、トランスフェリンや鉄濃度については両群間で有意な差が認められなかった。 これらの結果から、ビタミンE摂取により赤血球膜の脂質過酸化が抑制され、長時間の激しい持久性トレーニングにともなう赤血球溶血を軽減することが示唆された。
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