1995 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素環境における運動時血中乳酸濃度とカテコラミン濃度の関係 -高所トレーニングの有効性に関する基礎的研究-
Project/Area Number |
07780068
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高橋 裕美 広島大学, 総合科学部, 助手 (60206844)
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Keywords | グリコーゲン代謝 / エピネフェリン / ノルエピネフェリン / 運動 / 低酸素 |
Research Abstract |
5人の男性を対象に、酸素濃度の異なる3種(12%、16%、21%酸素)のガスを吸入する条件で、自転車エルゴメータによる定常運動(60%最大酸素摂取量)を6分間行わせた。運動中の換気ガスパラメータ(ダグラスバッグ法、電気化学的センサー)、心拍数(心電図法)、動脈血酸素飽和度(パルスオキシメータ法)を測定した。運動終了直後に肘静脈より約7ml採血し、全血中の乳酸濃度(電気化学酸素法)、血漿中のエピネフェリンとノルエピネフェリン濃度(HPLC法)の分析にあてた。運動中の動脈血酸素飽和度は、正常大気吸入時に95±0.1%であったが、低酸素ガス吸入時には、各々85.0±5.4%(16%),66.4±4.1%(12%)に低下した。定常運動中の換気量は、低酸素の程度が厳しくなるに応じて上昇したが、酸素摂取は、条件間で差異は認められなかった。運動終了直後の血中乳酸濃度は、吸入酸素濃度が低いほど、高い傾向にあったが、有意な差異は、21%条件と、12%条件の間にのみ、認められた。一方カテコラミン濃度は、いずれも条件間で統計的有意差は、確認できなかったが、12%条件での運動直後の値は、他の条件との比較で、高い傾向を示した。運動直後の乳酸濃度とエピネフェリン濃度、乳酸濃度とノルエピネフェリン濃度の間には、いずれも1%水準で有意な相関関係が認められた。これらの結果から、短時間の中程度運動時の血中の乳酸蓄積とカテコラミン濃度の上昇は、低酸素によって同様の影響を受けることが示され、グリコーゲン代謝の速度とβアドレナリン性刺激の大きさに、なんらかの関連性が存在することが示唆された。しかし、本研究から、両者の因果関係を推察することは難しい。この問題の解明は、今後の課題と考えられる。
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Research Products
(1 results)