1995 Fiscal Year Annual Research Report
筋内化学受容器を選択的に刺激する運動トレーニングが血圧調節におよぼす影響
Project/Area Number |
07780069
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
西保 岳 山口大学, 教養部, 助教授 (90237751)
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Keywords | 筋内化学受容器 / 運動 / ホルモン / レニン |
Research Abstract |
筋内代謝受容器を選択的に刺激する運動プロトコールを行った時の循環及び各種ホルモン動態を検討し、このような運動プロトコールの生理的意味を明らかにする事を目的とした。8名の健康な男子大学生が最大筋力の50%の筋力で1分間の持続的なハンドグリップ運動を行い、その運動終了直前に上腕を阻血して3分間保持した。阻血中は、筋内代謝受容器が選択的に刺激されるものと考えられるため、このハンドグリップと阻血の組み合わせを左右で3回ずつ交互に連続して計24分間行い、そのときの、動脈血圧、心拍数、血中レニン活性、カテコールアミン等を測定した。また、コントロールとしてハンドグリップ運動のみを行って阻血を行わないプロトコールも行った。 阻血を行うことによって平均血圧は約25mmHg増加した。このとき、血漿レニン活性は安静値の1.78±0.3から2.79±0.32ng/ml/hに有意に増加した。また、ノルエピネフリンも266.9±22.4から535.6±39.3pg/mlに増加した。エピネフリンは運動を開始してから13分目には134.1±21.8pg/mlとなり、安静値(44.8±9.0pg/ml)よりも有意に増加したが、24分目には安静値と有意な差がなくなるまで低下した。上記のパラメーターは、阻血を行わず運動のみを行った場合にはほとんど変化しなかったことから、筋内代謝受容器反射の活動亢進によって生じた変化と考えられる。血漿レニン活性やノルエピネフリンの増加から、筋内代謝受容器反射時には腎への交感神経活動が亢進することが推察される。エピネフリンの増加で副腎への交感神経活動の増加が示唆されるが、この増加は一過性のものであり、他の部位での交感神経の活動パターンと異なることが示唆された。 この結果から、上記のような運動プロトコールを行うことが、血圧調節やホルモン調節系に大きな影響を与えることが明らかとなった。今後は、計画当初の第二の目的である、上記運動プロトコールを使ったトレーニング法の効果について検討する予定である。
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[Publications] 西保 岳 他: "筋内代謝受容器反射の選択的刺激が血圧,ホルモン動態に及ぼす影響" 体力科学. 44(6). 665 (1995)
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[Publications] 西保 岳 他: "運動終了直後の息止めによる急性徐脈の生理学的意味とその個人差" 小野スポーツ科学. 3. 21-34 (1995)
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[Publications] 西保 岳 他: "筋内化学受容器反射から見た血圧調節に対するトレーニング効果の判定" デサントスポーツ科学. 16. 217-226 (1995)
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[Publications] Mack,G.,Nishiyasu,T.,etc: "Baroreceptor modulation of cutaneous vasodilation and sudomotor responses to thermal stress in humans" J.Physiology. 483(2). 537-547 (1995)
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[Publications] Kondo,N.,Nishiyasu,T.,etc: "The sweating responses of atheletes trained on land and in water" Japanese J.Physiology. 45. 571-581 (1995)