1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07780091
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
只野 ちがや 東邦大学, 医学部, 助手 (40261094)
|
Keywords | 骨格筋 / 運動 / 筋疲労 / DNA損傷 / 活性酸素 / 8ヒドロキシデオキシグアノシン |
Research Abstract |
本研究では運動時に発生した活性酸素による核DNAの損傷程度を評価し,このDNA損傷が運動による筋のダメ-ジの進行過程に関与する可能性について検討した。 筋のダメ-ジは筋疲労時に多いので,筋疲労を筋発揮張力の減少によって規定し,DNA損傷について検討した。長時間の持久的運動を想定して,雄ラット(Wistar.7・10週齢)の右脚の下腿三頭筋に誘発した等尺性収縮により2時間の単縮を行った。その結果,足底屈の発揮張力は50%まで低下したが,直後に摘出した下腿三頭筋群の核DNAについてDNA損傷の指標とされるデオキシグアノシン(dG)に対してのヒドロキシル化体(8・OH・dG)の生成量の比(8・OHdG/10^5dG)は,非刺激群との間に差を認めなかった。 次に,運動強度による影響をみるため,同様の誘発刺激法により間欠的な強縮を行なった。10分間の試行において発揮張力は30%以下に低下した。直後に摘出した下腿三頭筋群の核DNAについて8・OHdG/10^5dGは,非刺激群に比して増加の傾向を示した。また,同筋のSOD様活性は対照より増加したが,過酸化脂質の生成量に差は認めなかった。極度の筋疲労が活性酸素によるDNA損傷を助長する可能性のあることが推察された。 降坂走行では5週齢の雄ラットを間欠的に60分間および100分間強制走行させた(勾配・17度.20m/分)。運動終了直後ならびに1時間後の下腿三頭筋ではDNA損傷の可能性は少ないと考えられた。しかし,電気刺激と異なり随意運動では筋線維の活動は非同期的に起こるため,負荷が一部の筋線維に集中し極度な代謝変化が起こるとすれば,DNAの損傷も非常に限定されたものになると考えられる。今後更に詳細な検討をする必要がある。
|