1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07780095
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Research Institution | Japan Women's College of Physical Education |
Principal Investigator |
本間 幸子 日本女子体育大学, 体育学部・附属基礎体力研究所, 助手 (90257080)
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Keywords | 末梢循環 / 被服圧 / 筋ポンプ作用 / 鬱血 |
Research Abstract |
スポーツ用のタイトなウエアおよびサポーターの着用が、末梢筋組織の循環に及ぼす影響を明らかにするために、皮膚に密着しない通常の被服を着用した場合(コントロール条件)、スパッツを着用した場合(スパッツ着用条件)、および膝関節用のサポーターを装着した場合(サポーター装着条件)について長座位安静時、立位安静時、つま先立ち運動時およびそれに続く立位安静時での下腿における総ヘモグロビン量、酸素化ヘモグロビン量、脱酸素化ヘモグロビン量、心拍数および血圧を測定した。得られた主な結果は以下のようである。 1.スパッツ着用時に大腿部に加わる被服圧はいずれの部位においてもほぼ10mmHg以下であったのに対して、サポーター着用時には全ての部位で20mmHg以上の圧力が加わっており、最大値は膝上部での48.8mmHgであった。 2.サポーターを着用すると長座位安静時でもΔtotal-HbおよびΔdeoxy-Hbが増加し、鬱血の生じることが示された。 3.立位安静時ではいずれの条件においても時間経過にともなってΔtotal-HbおよびΔdeoxy-Hbが増加し、Δoxy-Hbは逆に増加した。立位姿勢保持によるΔtotal-HbおよびΔdeoxy-Hbの増加量は、コントロール条件およびスパッツ着用条件ではほぼ同様であるが、サポーター着用時では低値を示した。 4.つま先立ち運動を継続して行なうことによって、Δtotal-Hbは減少する傾向にあった。運動によるΔtotal-Hbの減少量はコントロール条件で最も大きく、サポーター着用条件で最も小さかった。 5.立位安静時および運動時の収縮期血圧、拡張期血圧および心拍数の変化には被服の違いによる差が認められなかった。 以上のことから、スパッツ着用時に生じる10mmHg程度の被服圧は立位時および運動時の筋組織での循環にはほとんど影響を及ぼさないことが考えられる。それに対して、サポーターによって膝関節近辺に20mmHg以上の圧を加えると重力の影響が少ない座位においても鬱血が生じ、さらに鬱血に対して筋収縮によるポンプ作用も抑制される。したがって、筋を強く圧迫するようなサポーターの着用は必要最小限の時間にとどめることが望ましいと考えられる。
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