1995 Fiscal Year Annual Research Report
先天的視覚障害者の加齢と身体活動が大動脈の柔軟性に及ぼす影響
Project/Area Number |
07780107
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Research Institution | Tsukuba College of Technology |
Principal Investigator |
香田 泰子 筑波技術短期大学, 一般教育等, 助手 (50234696)
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Keywords | 視覚障害者 / 大動脈脈波速度 / 加齢 / 身体活動 |
Research Abstract |
本研究では、先天的な視覚障害者の加齢と身体活動が大動脈の柔軟性にどのような影響を及ぼしているのかを検討することを目的とした。対象は、先天的視覚障害者として、筑波技術短期大学視覚部および筑波大学理療科教員養成施設に在籍する学生、および筑波技術短期大学の教員、日本盲人マラソン協会に所属するランナー、対照群として同年齢層の晴眼者とした。測定項目は大動脈脈波速度法を用いた大動脈脈波速度、現在および過去の身体活動状況およびライフスタイル等に関する面接調査、歩行歩数と心拍数の同時測定による日常の身体活動量(一部の視覚障害学生のみ対象)等であった。その結果以下のことが明らかとなった。1)大動脈の柔軟性を示す指標となる大動脈脈波速度は、青年層において、晴眼者では身体活動を継続的に実施している者ほど遅く、大動脈の柔軟性が高い傾向があったが、先天的な視覚障害者においては、弱視者ではほぼ同様の傾向がみられたが、全盲者では身体活動度の低い者のほうが大動脈の柔軟性が高い傾向がみられた。2)壮年層においても、対象者数が少なく有意の差はみられなかったが、同様の傾向がみられた。3)日常の身体活動量は、弱視学生に比べて全盲学生のほうが、歩行歩数および平均心拍数ともに低い傾向があり、視覚障害の程度が重いほど、身体活動水準が低かった。以上のことから、先天的な視覚障害者、中でも全盲者においては、身体活動水準の低い者において大動脈の柔軟性が高く、また加齢によってもその柔軟性は晴眼者に比べて高い水準に保たれている可能性が示唆された。
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