1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07780187
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
森藤 義孝 福岡教育大学, 教育学部, 助手 (10230145)
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Keywords | 理科教育 / 学習 / 力学 / 常識的運動理論 |
Research Abstract |
本研究では,力学領域のフォーマル理論の学習に決定的な影響を及ぼすとされるインフォーマル理論の実態解明を試みた。具体的には,子ども達が日常的に観察可能な多様な状況を取り上げ,彼らがそれらの状況をいかに分節化して捉えているのかを個別面接法を用いて明らかにした。調査では,当該分野の先駆的研究者であるオグボーン(Ogborn,J.)らの知見を参照しつつ,身の回りで観察されうる物体の運動を描画で表現した17枚のカードを作成して利用した。面接では,被験者2名を一組として,両者による相互対話を奨励しつつ,17枚のカードの類似性を判断させ,それらを任意の数のグループに分類するよう求めた。 調査の結果,子ども達が物体の運動を分節化して捉える際に用いる基準として,「支える有無」,「運動原因の違い」,「運動の種類の違い」などが利用されていることが明らかにされた。これらの結果は,オグボーンらによって提出されている常識的運動理論の存在を強力に支持するものであると言える。しかしながら,その一方で,彼の理論では説明のつかない結果も得られている。例えば,「運動体の種類の違い(例えば,運動体が生物が無生物か)」は,物体の運動を分節化して捉える際の基準として頻繁に用いられることが明らかにされた。したがって,今後の課題は,「運動体の種類の違い」を視野に入れながら常識的運動理論を再構築することである。
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