1995 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトウェア品質管理規格に対応した開発支援環境の構成方法に関する研究
Project/Area Number |
07780259
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
飯田 元 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学センター, 助教授 (20232126)
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Keywords | ソフトウェア開発プロセス / 開発支援環境 / 多人数開発 |
Research Abstract |
本研究では、CMMやISO9000-3などのソフトウェア品質保証システムで要求されている規格に従った開発支援環境の構築技術の確立を目的として、品質保証システムで要求されている管理作業の形式的な記述による明確化と、そのような形式的記述を元にして実際に規格を満たすような開発支援環境の構築方法を得る方法について検討した。 当初の計画では、管理プロセス記述モデルの開発を行なった後に、モデルに基づいた品質保証システム対応プロセスの記述を試み、その結果をもって、品質保証システムに対応した支援環境の構築方法の検討することを予定していた。 しかし、管理プロセス記述のためのモデルの検討過程において、進捗や品質といった抽象的な尺度の扱いの重要性を改めて認識するに至ったため、本年度は、複数人での作業におけるいくつかの性質について重点的に検討を重ねた。 具体的には、「設計者」「プログラマ」「テスタ」といった役割別の開発における並行性に着目し、並行に作業を行なう際の人員投入量や投入時期についての見積りモデルを提案した。また、各作業を並行に行なうことにより、ある作業が他の作業に与える影響を、進捗度という観点から数式化し、シミュレートする方法についても提案を行なった。一方、これらの多人数作業における進捗の度合や、作業内容などを収集/提示する機構について検討を行ない、今日広く普及しつつあるWWW(World Wide Web)のブラウザ(閲覧プログラム)をインターフェースに、作業の進捗の収集や報告を容易に実現する機構を提案/試作した。 以上のように、本研究では品質保証規格に基づいた開発支援環境構築のための要素技術を提案するに留まったが、これらはいずれも、研究目的を達成する上で重要な役割を果たすものであると考えられる。すなわち、本研究の成果を元に、品質保証規格に基づいたプロセス管理をWWWなどを用いて行なうとともに、プロセスの設計や管理に対する効果を予め予測/評価することが可能となることが期待される。
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[Publications] 永島淳他: "互いの影響を考慮した作業別進捗モデルによる開発プロセスのシミュレーション" ソフトウェア信頼性シンポジウム論文集. (印刷中). (1996)
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[Publications] 内藤裕幹他: "役割別工数投入計画のための見積りモデルの提案" 情報処理学会ソフトウェア工学研究報告. SE107. 1-8 (1996)
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[Publications] 島本勝紀他: "マルチメディアツールを利用したプロセス環境の実現方法" 情報処理学会第51回全国大会. 7N-6. (1995)
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[Publications] 島本勝紀他: "WWWを利用したプロセスレポーティングツールの開発" 情報処理学会ソフトウェア工学研究会報告. SE106. 9-16 (1995)