1995 Fiscal Year Annual Research Report
知的CAIを用いた科学概念学習過程に関する認知科学的研究
Project/Area Number |
07780314
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三輪 和久 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究所, 助教授 (90219832)
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Keywords | 概念形成 / 知識獲得 / CAI / 認知マップ / メンタルモデル / アナロジー |
Research Abstract |
本研究では,″学習資源″が,″知識の獲得や定着″,″概念の形成 等に与える影響を実証的に検討した。とりわけ,「認知的に″深い理解″をもたらすための学習」を,学習資源との関係の中で考察した。″深い理解″とは,例えば,″アナロジー″を用いて同型の問題に対応することができる能力までをも含む理解である。 実験には, ″電気回路″ を教授する知的CAIシステムを用いた。本システムは,プロダクションシステムベースの知的CAIシステムである。本システムでは,個々の概念をノードとし,ルールをリンクとするネットワーク(認知マップ)を,学習の各段階で学習者に表示することができる。ネットワークの中には,これまでの研究を通して同定された学習者の典型的なバグルールも含まれている。学習者は,画面に表示された認知地図の上で,誤りの内容や,誤りを含んだルールと正しいルールとの関係,更には,「学習の最終段階からみてその時点でどれだけの知識を獲得したのか」を,適宜確認しながら学習を進めることができる。 本研究では更に, ″メンタルモデル″ の教示フレームを加える。具体的には, ″電気回路″ を, ″水路″ のアナロジーを用いて統一的に説明することを考えた。 本CAIシステムを用いて学習実験を行った結果,深い理解をもたらす学習支援環境として,認知マップやメンタルモデル等の学習資源を提供することが有効であることが確認された。
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[Publications] 森本志朗: "認知マップとメンタルモデルに基づく初等電気回路学習支援システム" 教育システム情報学会誌. Vol.12. 243-256 (1996)
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[Publications] 三輪和久: "認知心理学2 記憶 第12章 記憶のコンピュータ・シミュレーション" 東京大学出版会, 26ページ (1995)