1995 Fiscal Year Annual Research Report
高密度イオンビーム・プラズマ系におけるイオン音波のカオス的振舞に関する研究
Project/Area Number |
07780412
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
齋藤 和史 宇都宮大学, 工学部, 助手 (70251080)
|
Keywords | ダブルプラズマ装置 / イオンビーム・プラズマ系 / カオス / アトラクタ / 相関次元 / Grassberger-Procacciaの方法 / イオンプラズマ周波数 / イオンクラウド |
Research Abstract |
ダブルプラズマ装置を用いて次のような実験を行った,すなわち,ターゲット側の真空容器内にある熱陰極フィラメントを過熱しないことによってターゲットプラズマの密度を有情の密度の1/10程度の希薄なものとし,そこへ相対的に高密度のイオンビームを入射してイオンビーム・プラズマ系を構成した.このような系において,ターゲットへ入射するイオンビームのエネルギーを或閾値以上にすることによってイオンプラズマ周波数程度の周波数を持つ自励振動が励起されることを観測した.飛行時間法を用いた測定によって,この振動は空間を伝搬していないことが明らかとなった. 励起された振動のアトラクタについて,Grassberger-Procacciaの方法を用いて埋め込み次元と相関次元の評価を行った.その結果,この振動のアトラクタの埋め込み次元は3であり,また相関次元は1.64±0.22であることが明らかとなった.一般に振動系の場合,相空間において軌道が交差することなく,カオス的に空間全体を埋め尽くすためには,埋め込み次元が3以上,相関次元が2以上であることが必要である.従って,本研究で観測された自励振動は真にカオス的ではないことが明らかとなった.しかしながら,振動のない状態から自励振動に遷移する過程が間欠的であり,また,振動が励起されている状態におけるパワースペクトルがイオンプラズマ周波数近傍でブロードになる等,この振動がカオスに非常によく似た性質を示すことも明らかとなった. このような振動が生じる原因を実験によって解明するには至らなかったが,種々の測定によって,真空容器壁のまわりに形成されるシースによる荷電粒子の損失率が時間的に変化することや,分離グリッド近傍に形成されるイオンクラウドによるイオンビームの入射エネルギーが時間的に変化すること等が原因として推測される.
|
Research Products
(1 results)