1995 Fiscal Year Annual Research Report
GC-MSを用いた原油由来の硫黄含有複素環式化合物による海洋汚染に関する研究
Project/Area Number |
07780455
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
橋本 伸哉 東京水産大学, 水産学部, 助手 (10228413)
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Keywords | 東京湾 / 生物モニタリング / 有機スズ化合物 |
Research Abstract |
海洋汚染の研究関して、比較的難分解性であり毒性の高い人工有機化合物の実験室での研究は比較的みられるが、実際の現場での汚染の程度をモニタリングする研究はほとんど見られない。ムラサキイガイを用いたモニタリングが世界的に行われているが、種の同定の困難さや試料分布の偏りなど問題がある。 本研究では、ムラサキイガイと真珠養殖用のあこや貝を同時に東京湾内に移植し、現場で濃縮した人工有機化合物、特に東京湾の海水中の濃度変化が注目されている有機スズ化合物の分布を調査し海洋環境への将来への影響を予測するための生物モニタリング手法の研究を行った。 移植用のあこや貝は真珠養殖用の2年貝を、ムラサキイガイは有機スズ化合物の汚染が少ない地点で自生するものを用いた。移植前に1週間程度濾過海水で飼育した後、東京湾内の2地点(東京航路灯標及び水産庁中央研究所福浦桟橋)に移植した。有機スズ化合物の貝中の濃度の経時変化を見るために、移植後、1、2、4、6、8週間後に試料を採取し貝中の濃度を測定した。その結果あこや貝では、移植後1-2週間で平衡濃度に達した。短期のモニタリングに適していると考えられる。また、有機スズ化合物の濃縮濃度の固体差を調べるため、1個体ずつ分析した。その結果、現場でのモニタリングのためには数個の試料を混合して測定する必要があることがわかった。さらに、モニタリングに用いる生物の特性を調べるためにムラサキイガイとあこや貝での濃度を比較した。 その結果、あこや貝とムラサキイガイでは有機スズ化合物の濃縮に違いが見られた。あこや貝では、ジブチルスズの濃度が高く生物濃縮係数もムラサキイガイより小さかった。 今後、貝の産卵との関係からも貝中の有機化合物濃度の季節変化等も調べた生物モニタリングの手法のさらなる検討が必要である。
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