1995 Fiscal Year Annual Research Report
水銀耐性遺伝子の機能解析と環境中の水銀浄化への利用
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07780480
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
清野 正子 摂南大学, 薬学部, 研究員 (30239842)
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Keywords | 水銀耐性遺伝子 / 水銀浄化 / Pseudomonas K-62 / mer オペロン / merR(制御因子) / merA(mercuric neductase) / merB(organomercurial lyase) |
Research Abstract |
水銀の環境汚染は世界的規模で現在進行中であり、環境中の水銀の除去は早急に解決されなければならない問題であるが、現時点では実用化されていない。そこで筆者は水銀耐性菌(Pseudomonas K-62)の水銀代謝機構を遺伝学子レベルで解明するこよにより、微生物を利用した水銀浄化モデル系を確立することができると考えた。これまでの研究において、筆者は本菌の26-kb plasmid上に存在する水銀耐性遺伝子(merオペロン)を含む遺伝子断片のクローニングに成功し、本菌の水銀耐性遺伝子(pMRA17)が大腸菌内で発現するという知見を得ていた。 本年度はこの水銀耐性遺伝子の構造と機能を解析することに焦点を合わせ、以下の結果を得た。 先のpMRA17より、merオペロンを一部欠失した様々な変異株を作成し、それらの水銀代謝活性能、水銀耐性を調べるとともに遺伝子の塩基配列決定を行ったところ、本 mer geneはmerR(regulator)、operator/promoter、merT(transport protein)、merP(mercury binding protein)、merA(mercuric reductase)、URF(unidentified reading frame)、及びmerB(organomercurial 1yase)から成るmer operon(4447-bp)を形成していることが明らかとなった。ホモロジー検索の結果より、セラチア属由来のpDU1358のMerR、MerT,MerP、MerA、及びMerBとそれぞれ89.5%、91.4%、76.9%、56.6%、51.3%と高い相同性を示した。また、遺伝子から予測される制御因子MerRのC末端の10アミノ酸の配列が既知の制御因子の配列と著しく異なっていた。この10アミノ酸が有機水銀、無機水銀を認識するのではないかと推測されいるが未だその詳細は不明である。そこでこの点について本 MerRを用いて今後詳細に検討する予定である。さらに先のORFは水銀により誘導される新規の蛋白質であるが、機能については不明であり、どんな機能を有しているのか(例えば、水銀の排出など)を明らかにしたい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Masako Kiyono: "Involvement of two plasmids in mercurial resistance of Pseudomonas K-62." Jpn. J. Toxicol. Environ. Health. 41. P-20 (1995)
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[Publications] Hiroyuki Fujimori: "Possible involvement of red pigments in defense against mercury in Pseudomonas K-62." FEMS Microbiol. Letts.135. 317-321 (1996)
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[Publications] Masako Kiyono: "DNA sequence analysis of the organomercurial-resistance determinants from Pseudomonas K-62 plasmid PMR26." Jpn. J. Toxicol. Environ. Health. (印刷中).