1995 Fiscal Year Annual Research Report
極低温におけるグルタチオン合成酵素の反応中間体を含む状態での構造研究
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07780494
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 宏 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (10252719)
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Keywords | 低温実験 / グルタチオン合成酵素 / 結晶解析 |
Research Abstract |
大腸菌由来グルタチオン合成酵素のループ欠損変異型酵素の結晶構造を決定し、天然型酵素との生化学的データの比較によって、本酵素中のループ構造がスムーズな酵素反応進行に重要な役割を果たしていることを明らかにした。また反応中間体の解析の基礎データとして本酵素の基質複合体の構造を詳細に決定するために、液体窒素温度においてデータの収集ができる方法、条件を検索した。その結果、硫酸アンモニウムを沈殿剤として結晶させた本酵素結晶を、ショ糖約2Mを含む結晶化母液に置換したものおよび、グリセロール20%を含む母液に置換したものが-150度でも良好な回折を与えることが明らかになった。この両者の結晶の回折強度データを-150度で、高エネルギー物理学研究放射光実験施設のシンクロトロン放射光を用いて収集した。これらの回折強度データは現在処理中である。次に、反応中間体を極低温条件下でトラップするためにcaged-ATPとγ-Glu-Cysとの共結晶化を試み、これらを含んだ結晶を硫酸アンモニウムを沈殿剤として得た。また、基質結合を阻害しにくいPEGを沈殿剤としてcaged-ATPとγ-Glu-Cysとの共結晶化を試み、新たな結晶系の結晶を得た。これらの結晶の回折強度データを実験室レベルのX線発生装置を用いて収集し、構造の精密化を行なった。今後、光照射によってcaged-ATPを分解しATPを生成させる実験条件の検索を行ない、放射光でのマシンタイム配分時に反応中間体を極低温条件下でトラップした結晶の回折強度データを収集する予定である。
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