1995 Fiscal Year Annual Research Report
肝小胞体グルクロン酸抱合化における糖ヌクレオチドの膜透過反応の再構成
Project/Area Number |
07780544
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
生城 真一 姫路工業大学, 理学部, 助手 (50244679)
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Keywords | グルクロン酸抱合反応 / 糖ヌクレオチド / ラット肝小胞体膜 / リポソーム再構成 / 膜透過機構 |
Research Abstract |
本申請者は、肝細胞における薬物代謝に関わるグルクロン酸抱合反応での糖ヌクレオチドの小胞体膜透過の分子機構の解明を一貫して行っている。昨年度までに迅速ろ過法を用いたUDP-グルクロン酸の膜透過活性測定系を確立し、ラット肝ミクロソーム画分を用いてUDP-グルクロン酸の膜透過反応について解析を行ってきた。 本申請においては、この糖ヌクレオチドの膜透過機構を分子レベルで解明するために膜透過に関与するトランスポータタンパク質を精製することを目的として、人工膜リポソームを用いたUDP-グルクロン酸の膜透過活性の再構成実験を試みてきた。再構成法には多くのトランスポーターで用いられている凍結-融解法を適用し、ラット肝ミクロソームの可溶化標品でのUDP-グルクロン酸の輸送活性(小胞内への取り込み活性)の測定を行い、その結果より以下のことが明らかにされた。(1)トランスポータ精製においてUDP-グルクロン酸の膜透過活性とUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT1)が精製過程で同じ挙動を示す。(2)UDP-グルクロン酸転移酵素の種々の誘導剤(フェノバルビタールやメチルコラントレン)により処理したラット肝より調製したミクロソーム画分の膜透過活性が上昇する。(3)ミクロソーム標品をSH基の修飾剤であるN-エチルマレイミドで処理することにより膜透過活性が抑制されると同時にグルクロン酸抱合化活性も阻害を受ける。 このように従来の仮説であるUDP-グルクロン酸の膜透過に関与するタンパク質の存在が否定される結果となり、UDP-グルクロン酸転移酵素自身がグルクロン酸抱合化機能とともにUDP-グルクロン酸のトランスポート機能を併せもつのではないかという可能性が示された。
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[Publications] S.Ikushiro,et al.: "Identification and Analysis of Drug-responsive Expression of UDP-Glucuronosyltransferase Family1(UGT1)Isozymes in Rat HepaticMicrosomes Using Anti-peptide Antibodies." Arch.Biochem.Biophys.324. 267-272 (1995)
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[Publications] Y.Emi,et al.: "Drug-responsive and Tissue-specific Alternative Expression of Multiple 1st Exons in Rat UDP-Glucuronosyltransferase Family 1(UGT1)Gene Complex." J.Biochem.117. 392-399 (1995)