1995 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系の性分化におけるアロマターゼの機能に関する分子遺伝学的研究
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07780547
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
本田 伸一郎 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助手 (40257639)
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Keywords | アロマターゼ / 性分化 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
脳内アロマターゼの機能に関して、遺伝子破壊マウスの作成および遺伝子発現を調節する転写因子の同定という2つの観点から、以下の研究を行なった。 1)マウス・アロマターゼ遺伝子の脳および卵巣特異的エクソン1の存在を示し、エクソン1が多重エクソンを構成していることを明らかとした。さらに、本遺伝子の卵巣のエクソン1,2およびプロモーターを含む領域を欠損するようターゲッティングベクターを構築し、ES細胞に導入した。PCRおよびサザンブロットによって相同的組み換えをおこしたES細胞クローンをスクリーニンングすることにより、最終的に11個の目的クローンを得た。これらのクローンから発生工学的手法を用いて10匹のキメラマウスを作製した。今後、得られたキメラマウスを用いてアロマターゼ機能欠損マウスを作製し、その性行動および内分泌パターンの変化を調べる予定である。 2)マウス脳特異的エクソン1の発現をRT-PCR-サザンブロットで調べ、このエクソンが、脳の視床下部および扁桃体においてのみ発現し、卵巣、精巣、胎盤、脂肪組織等では発現が、認められないことを示した。また、脳特異的プロモーター領域をCAT遺伝子に連結したレポータープラスミドを構築し、胎児脳初代培養細胞に導入してプロモーター活性を測定したところ、上流約200bpを含むものが高い活性を示し、この領域がコアプロモーターを形成するものと考えられる。胎児脳核抽出液を用いたDNaseIフットプリント法にてプロモーター領域の解析を行い、3箇所の保護部位の存在を確認し、Arom-A,B,Cと名付けた。さらに、これらの結合部位には異なる因子が結合することを、ゲルシフトアッセイにより明らかにした。これらエレメントのうちArom-BにはC/EBP結合配列が存在していたが、Arom-A,Cには既報のエレメントは存在していなかった。
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[Publications] Shin-ichiro Honda: "The Alternative Exonl of the Mouse Aromatase Cytochrome P-450" Biochimica et Biophysica Acta. (In press). (1996)
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[Publications] Kazuyo Yamada: "Regulation of Placenta-specific Expression of the Aromatase Cytochrome P-450 Gene; Involvement of the Trophoblast Specific Element Binding Protein" The Journal of Biological Chemistry. 270. 25064-25069 (1995)