1995 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌染色体複製の開始制御の分子機構:開始因子DnaAタンパク質の機能制御機構
Project/Area Number |
07780603
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片山 勉 九州大学, 薬学部, 助手 (70264059)
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Keywords | DNA複製 / 染色体 / 細胞周期 / 生化学 / 分子生物学 / 分子遺伝学 / 複製開始 / 原核生物 |
Research Abstract |
本研究は、大腸菌における染色体複製の制御機構の解明をめざし、複製開始タンパク質DnaAの活性制御因子を探索し同定することが目的であった。目的とした因子はDnaAタンパク質を特異的に認識して不活性化するタンパク性因子であり、研究代表者が独自に見いだしたものである(Katayama、T.、and Crooke、E.(1995)J.Biol.Chem.270、9265-9271)。この因子によって不活性化されたDnaAタンパク質は、ミニ染色体の試験管内複製反応に対する活性を失っている。 目的の因子を精製して同定するため、まず大腸菌の大量培養を行った。次に、DnaAタンパク質の不活性化を指標に、種々の分画法を試みた。最終的に分画に用いた手法は、1.硫安沈殿、2.DE52(Whatman)、3.ヒドロキシアパタイト、4.FPLC mono-Q、5.FPLC superdex200、6.FPLC mono-Pであった。最終分画の段階において、DnaAタンパク質の不活性化と挙動を共にするタンパク性因子を認めることができた。この因子の実体を明らかにするため、自動エドマン分解法によるアミノ酸配列決定を行ったところ、N-末端3残基を明らかにすることができた。現在、さらに多くのアミノ酸配列を知るため、大量精製を行っている。 また、本研究を滞りなく進行させるためには、DnaAタンパク質の安定供給体制の確立も重要であった。かつてはDnaAタンパク質は精製が難しくため収量が低く、これが生化学的研究の足かせとなっていた。研究代表者はまず、DnaAタンパク質の大量発現系に根本的な改良を加え、菌体全タンパク質の約15%までDnaAタンパク質が蓄積する系を新たに確立した。さらに精製法にも改良工夫を加え、50gの菌体から10mgのDnaAタンパク質を精製できる実験系を見いだした(未発表)。
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