1995 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエの卵母細胞分化の分子機構-卵黄タンパク質レセプター分子の研究
Project/Area Number |
07780647
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
丸尾 文昭 筑波大学, 生物科学系, 助手 (30199921)
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Keywords | ショウジョウバエ / 卵母細胞 / 細胞分化 / 卵黄タンパク質 / レセプター / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
昆虫や脊椎動物では、特定の時期の卵母細胞のみが卵黄タンパク質レセプターを発現することにより体液中の特定のタンパク質を選択的に取り込み、卵黄顆粒を形成する。すなわち、卵黄タンパク質レセプター分子は卵母細胞の機能的分化を表す最も有効な分子であると言える。そこで、有用な実験動物であるキイロショウジョウバエを用いて、卵母細胞におけるレセプター分子の発現調節機構を調べれば、卵母細胞分化の分子機構解明に大きく寄与すると考えられる。本研究はその第一段階として、モノクローナル抗体で同定したOT80抗原タンパク質が卵黄タンパク質セレプターの構成分子であるかどうかを調べる目的で計画された。 研究の進行中、Schonbaumらによりyolkless遺伝子(y1)が単離され、鳥の卵黄タンパク質レセプターと相同性があることが報告された(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92:1485)。予想されるYLタンパク質は分子量約210kDでOT80抗原タンパク質(70kD)とは一致しない。しかし、YLタンパク質は卵黄タンパク質との結合能や分布について調べられていないものの、相同性から見て、レセプター構成分子の新たな有力候補と考えられる。そこで、OT80抗原タンパク質がYLタンパク質由来のフラグメントである可能性の検定と、yl遺伝子とOT80遺伝子の遺伝的相互関係についての知見を得る目的で、yl突然変異体におけるOT80タンパク質の存在様式を免疫ブロット法で調べた。その結果、野生型とyl突然変異体で差は認められなかった。用いたyl突然変異体は遺伝子学的にはnullアレルと判定された。これらの結果から、ylとOT80は異なる遺伝子座であり、OT80の発現はylに支配されないことがわかった。OT80タンパク質はYLタンパク質と協調してレセプター機能を担う可能性があるが、OT80遺伝子の解析がさらに進めば明らかになるはずである。
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