1995 Fiscal Year Annual Research Report
GTP結合蛋白質βγサブユニットを介した蛋白質リン酸化と卵成熟機構
Project/Area Number |
07780650
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
千葉 和義 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (70222130)
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Keywords | ヒトデ / 卵母細胞 / 1-メチルアデニン / MPF / GVBD / Cell free |
Research Abstract |
ヒトデ卵母細胞は、1-メチルアデニン(1-MA)によって減数分裂を再開する。我々は、1-MA情報伝達系に三量体GTP結合蛋白質(G)のβγサブユニットが関与することを明らかにしてきた。GβγからMPF形成までには、64kDaの蛋白質のリン酸化が関与していると予想されたので、64kDa蛋白質がどのようにMPF形成に関わっているのか、または64kDa蛋白質をリン酸化する酵素は、どのような分子なのかを明らかにすることを研究目的とした。 卵ホモゲネートに放射性のATPとGβγを加えると、64kDa蛋白質がリン酸化された。しかし、リン酸化量が実験ごとに一定でなく、ホモゲネート作成の条件を改良する必要があると考えられた。さらに64kDaの蛋白質のリン酸化からMPF形成までの情報経路を明らかにするには、in vitroでMPFが形成されるcell free系の確立が望まれる。そこで、これらの要求を満たす卵ホモゲネート作成法の開発にとりかかった。 卵黄膜を除去した成熟卵を、EGTA、Hepes、グリシンを含む緩衝液で洗った後、60μmのメッシュに通すことでマイルドに破砕する。このM期ホモゲネートに卵核胞を加えると、約30分でGVBDが起こった。未成熟卵のホモゲネートではGVBDは起こらず、M期ホモゲネートにMPF活性が検出されたことから、本法は生理的なGVBD過程を再現すると考えられた。また、この未成熟卵ホモゲネートにGβγを投与すると、大変効率よく64kDaの蛋白質がリン酸化された。本法によるcell free系は、64kDaの蛋白質の精製に役立つだけでなく、1-MA情報伝達系と減数分裂過程について、有効な解析手段となることが期待できる。
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[Publications] Chiba,K.: "A periodic network of G protein βγ subunit coexisting with cytokeratin filament in starfish oocytes" Dev. Biol.169. 415-420 (1995)
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[Publications] Longo,F.J.: "Cortical changes in starfish ( Asterina pectinifera)oocytes during 1-methyladenine-induced maturation and fertilization / activation." Zygote. 3. 225-239 (1995)