1995 Fiscal Year Annual Research Report
小脳顆粒細胞のアポトーシスに伴い制御される細胞死及び可塑性関連遺伝子群の解析
Project/Area Number |
07780713
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
小野 富男 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 遺伝情報研究部門, 研究員 (60231239)
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Keywords | 副甲状腺ホルモン関連タンパク質 / PTH / PTHrP receptor / NMDA / 小脳顆粒細胞 / アポトーシス / 可塑性 / 神経回路形成 / Differential Display |
Research Abstract |
発生の過程で、大過剰に形成された神経細胞はその活動頻度に応じてアポトーシスが抑制され生き残る。その結果、神経活動頻度の高いもののみが回路を形成するという選択が起こる。我々は、外界刺激に応じた神経ネットワークの形成の基礎過程を解明するために、神経活動により制御されると考えられる可塑性及び細胞死関連遺伝子群を明らかにすることを目的として研究を行った。(方法)ラット小脳顆粒細胞を無刺激培地及び刺激培地(NMDA或いはKCl添加培地)で培養し、遺伝子の発現パターンをRT-PCRを用いたmRNA Differential Display法を用いて比較し、発現量に差のある遺伝子のcDNA断片をクローニングした。(結果)小脳顆粒細胞死の誘導及び抑制に伴って発現が上昇する遺伝子の候補をそれぞれ15種類、6種類を捕えた。前者は全て未知の遺伝子であったが、後者は4種類が既知の遺伝子であった。その内、一種類についてはParathyroid Hormone related Protein(PTHrP)であった。PTHrPは悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症の原因物質として発見された。この物質は神経系で発現していることは報告されているが、神経系での機能やアポトーシスとの関連については全く分かっていない。今回はこの遺伝子の解析を行った。PTHrPmRNAはアポトーシス抑制条件下でのみ、アポトーシスのcommitment timeである培養2.5日以降に発現の上昇が見られた。またNMDA存在下(アポトーシス抑制条件下)で培養を行った後、AP-5添加によりアポトーシスを誘導すると、この遺伝子の発現が急激に減少した。また小脳顆粒細胞にはPTH/PTHrP receptorが発現しており、このmRNAも同様の制御をうけていた。PTHrPはアポトーシス抑制条件でのみ培養3日以降に培地中に分泌することが確認できた。
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Research Products
(1 results)