1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07780784
|
Research Institution | Hokkaido Tokai University |
Principal Investigator |
泉 隆 北海道東海大学, 工学部, 講師 (80193374)
|
Keywords | 下肢麻痺 / 感覚フィードバック / 重心動揺 / 超音波素子 |
Research Abstract |
本研究課題を通じてヒトの起立時の姿勢の制御特性にかんする新しい知見[1,2]が得られた.これを元に姿勢動揺に関する感覚フィードバック装置の基本部分である,姿勢の安定性を計測する新しい装置の試作[3]を行った. 1.ヒトの起立時の重心位置の同定に関する知見:自然な起立静止時においても不随意な姿勢の動揺が生じ,その大きさは両足を結ぶ方向に1cm,これに直交する方向に2cm程度であった. 2.両足による指示領域の同定に関する知見:前後左右斜めの8方向に意図的な重心の移動を生じさせたところ,立位姿勢を維持できる荷重の支持領域は,両足の左右への開き方や前後の関係に関わらず,足部の骨格(第一中足骨骨頭,外足縦アーチ,踵骨骨底)に沿った範囲となる. 以上の知見から,姿勢の動揺を計測する装置の使用として,測定範囲(重心の水平方向の移動範囲を一辺40cm以上の正方形領域内に想定)と測定精度(1cm程度)を決定した. 重心と両足の相対的な位置を同定する装置の試作:ヒトの起立時の姿勢の安定性を超音波素子を用いて直接的に測定する装置を提案・試作した.臨床的な実用性を考慮して小型・軽量などの条件を加味した.装置の性能評価を行い,測定範囲を満足するが,測定精度は不足していることが示された. 以上のように,生態工学・リハビリテーション工学の分野においてユニークで実用的な研究成果が得られた.これらは4件の研究発表を通じて報告された.今後は,静止時ばかりでなくヒトの歩行中など動的な条件下での姿勢動揺を詳細に調べる必要がある.また,試作装置の測定精度を向上しなければならない.
|
-
[Publications] 池田世史: "起立・歩行補助を目的とした姿勢動揺計測用センサの試作" 第34回日本エム・イ-学会北海道支部大会抄録集. 19 (1995)
-
[Publications] 峯後雅樹: "起立・歩行補助を目的とした重心動揺とその知覚特性の測定" 第34回日本エム・イ-学会北海道支部大会抄録集. 1995. 19
-
[Publications] 野崎 明: "下肢麻痺者の起立・歩行補助を目的とした姿勢動揺に関する感覚フィードバックの研究" 第10回計測自動制御学会主体・生理工学シンポジウム論文集. 101-104 (1995)
-
[Publications] 野崎 明: "下肢麻痺者の起立・歩行補助を目的とした姿勢動揺の測定装置に関する研究" 電子情報通信学会技術研究報告. MBE95-168. 73-78 (1996)