1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07780786
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
菊池 明彦 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40266820)
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Keywords | 温度応答性 / ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) / 細胞ハイブリッド / リンパ球 / ターゲティング |
Research Abstract |
生体内の免疫応答で中心的な役割を果たすリンパ球に温度応答機能を付与することにより、局所加温によって生体内での集積性を向上させることを目的として、本研究では温度応答性高分子のラットリンパ球への導入と、温度に応答した細胞の気質担体への接着性を評価した。片末端にカルボキシル基を有するポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PIP AAm)はメルカプトプロピオン酸の存在下でテロメリ化することにより合成した。分子量はGPCおよび、末端カルボキシル基の定量から分子量を決定し、4000のものを用いて以下の実験を行った。末端カルボキシル基を活性エステル化し、ラット腸間膜リンパ節より採取したリンパ球の細胞膜表面に存在するアミノ基と反応させた。反応は4℃のハンクス平衡塩溶液中で1時間混合することにより行い、未反応のポリマーは遠心洗浄により除去した。恒温ジャケットを備え、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)をコートしたビーズを充填したカラムにPIPAAm修飾リンパ球を流すことにより温度に応答した接着挙動を調べた。4℃ではPIPAAmによる修飾に関わらず接着性は変化しなかったが、37℃ではPIPAAm修飾リンパ球のカラムへの吸着が大きくなることをみいだした。これはPIPAAmの脱水和に基づく細胞膜表面の疎水性の増大によりカラム充填材表面により吸着しやすくなったためと考えられた。このとき、色素排除法により細胞の生存率を5時間まで経時的に調べたところPIPAAmによる修飾後に細胞生存率の低下はみられず、機能を維持していることが示唆された。以上の結果から、細胞に温度応答性を付与することで温度に応答して加温した部位に機能細胞を集積させることのできる新しい高分子-細胞ハイブリッドの調製法の基礎基盤として重要な知見が得られた。このことは、特異な機能を発現した細胞を体内でターゲティングして病気の治療を達成する新しい細胞デリバリーに応用できることを示唆している。
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