1995 Fiscal Year Annual Research Report
スピロピラン基を有する光応答性脂質を用いたリポソームからの薬物放出の光制御
Project/Area Number |
07780793
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
大矢 裕一 関西大学, 工学部, 専任講師 (10213886)
|
Keywords | ドラッグデリバリーシステム / リポソーム / スピロピラン / 光異性化 / フォトクロミズム / 脂質 / 放出制御 / ミセル |
Research Abstract |
申請者は、スピロピランが光照射によって電荷を持たない疎水性のスピロピラン(SP)型から電荷分離した親水性のメロシアニン(MC)型へとその物性を変化させることに着目し、両親媒性構造を有する脂質分子中にスピロピラン基を導入することにより、その両親媒性構造を光によって変化させれば、その集合体形成能を変化させることができるという着想のもとに、脂質の疎水部末端にスピロピラン基を導入した電荷分離型光応答性脂質(SP-16A)の合成を行った。 まず、SP-16A単独でのミセル形成能について、表面張力測定およびペリレンを疎水性環境プローブとして用いた蛍光スペクトル変化により調べたところ、SP-16Aはミセル形成能を有し、その臨界ミセル濃度は約0.1mg/mlであることが分かった。また、紫外光照射によってMC型へ異性化させるとミセルが崩壊し、再び可視光照射によってSP型へもどすとミセル形成能が回復することも確認された。 DPPC(ジパルミトイルフォスファチジルコリン)とSP-16Aを混合し、濃度消光する濃度の蛍光物質カルボキシフルオレセイン(CF)を内水層に含有させたリポソームを作製した。これに紫外光を照射することによってSP-16Aの光異性化によるリポソームからのCFの放出量の変化を観測した。その結果、SP-16Aを含む混合リポソームでは紫外光照射に応答したCFの放出が観測された。また繰り返し可視光と紫外光を照射することによって、内包物放出のオン・オフが達成されることも明かとなった。さらに、光源にパルスレーザー光を用いて光照射を行い、光異性化が膜構造の乱れを引き起こすメカニズムについて分子レベルでの検討を加えたところ、紫外光照射後のSP-16Aのコンフォメーション変化が膜構造を乱し、内包物放出を引き起こしていることが示唆された。
|
Research Products
(1 results)