1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07801016
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
中溝 幸夫 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (60036978)
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Keywords | 奥行錯視 / ウォールペ-パ-錯視 / 奥行知覚 |
Research Abstract |
本研究計画の主目的は、3D錯視を生み出す人間の視覚機構を理論的、実験的に解明することであった。今年度の研究計画は、「垂直・水平線分の奥行分離」錯視について実験を行い、時間的余裕がある場合は、次年度の計画である「マルチ・ウォールペ-パ-」錯視についても実験を行う予定であった。実験の結果、次に示すように、新たな知見を得ることができた。 1.「垂直・水平線分の奥行分離」錯視に関する知見 (1)眼から40cmの前額平行面上に置かれたグリッド・パターンを背景にして、輻輳角が大きくなる方向に固視点を移動していくと、ある輻輳距離(平均37.9cm)においてグリッドを構成する垂直線と水平線が奥行方向に分離する現象がおこった。(「垂直・水平線分の奥行分離」錯視の発見) (2)半透明のフィルムにプリントされた垂直線分からなるグレーティング刺激と水平線分からなるグレーティング刺激の間に1〜3cmの物理的奥行をつくり、垂直線分の刺激面を固視すると、2つの刺激面間の奥行は知覚されなかった。一方、水平線分の刺激面を固視すると、2つの刺激面間の奥行が知覚された。(「垂直・水平線分の奥行分離」錯視の確認) 2.「マルチ・ウォールペ-パ-」錯視に関する知見 (1)直径2mm程度の黒点が縦横均等に並んだドットパターンを眼の高さの水平面から傾けて、両眼で観察すると、階段状の3Dパターンが知覚される。(“主観的階段"錯視の発見) (2)この現象は、いわゆる古典的ウォールペ-パ-錯視のバリエーションであり、マルチ・ウォールペ-パ-錯視と呼ぶことができる。(新たな3D錯視の提唱)
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