1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07801027
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Research Institution | EHIME UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中道 仁美 愛媛大学, 農学部, 助教授 (30254725)
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Keywords | 農村 / 女性 / 主体的役割 / 家族協定 / フェミニズム |
Research Abstract |
今年度(平成9年度)は、農村女性の主体的役割について、特に農家経営の中で果たす役割について中心に、北海道で補充調査を行なった。酪農経営は複数の作業従事者を必要とし、それゆえ、一人で経営することが困難である。女性は、パートナーとしてなくてはならない存在であり、調査した町では、中年になっても配偶者のいない男性が後継者であった農家で、廃業(離農)したという例も聞いた。一方、近年、増加しつつあるグリーン・ツーリズムを営み始めた農家では、女性が食事の用意を中心に、農家民宿作業の大半を担っており、過労ぎみであるが、むしろ主体的な役割を担うことにより、農村、農家で暮らすことに生きがいを感じはじめている。 女性が主体的な役割を果たすことができている農家では、女性だけでなく、農家自体が意欲的であった。そのような農家では、後継者も育っていたり、後継者への教育にも意欲的な面がみられた。 また、報告書の準備を兼ねて、理論整理を行なった。特に、新しい分析手法であるフェミニズム理論について、最新研究の追加的(フォローアップ)研究を行った。そのフェミニズム理論を念頭において、農村女性問題を再整理しながら、政策的、歴史的視点についても、以前の農村女性問題研究を再考(フォローアップ)した。 農村女性問題をフェミニズム視点から見直した時に、研究の進んでいるのは、マルクス主義フェミニズムやポストモダン・フェミニズムにおいて見出される、近代資本主義、世界資本主義による、女性労働、農業労働の差別問題である。一方、ラディカル・フェミニズムが見出した父権制、家父長制は、イエの問題として、やはり研究が進んでいるが、リプロダクション(性と生殖)については、あまり進んでいない。後継者問題も絡んで、農村、農家女性については、非常に大きい問題であり、外国人花嫁問題として研究が進んでいるだけである。
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