1995 Fiscal Year Annual Research Report
リゾート開発の展開における環境問題と淡水漁業への影響に関する研究
Project/Area Number |
07801029
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
佐藤 利明 石巻専修大学, 理工学部, 助教授 (10215816)
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Keywords | リゾート開発 / 地域開発 / 環境 / レジャー / 淡水漁業 |
Research Abstract |
本研究は、リゾート開発の展開によって生じる環境問題を、地域住民の生活変容および地域社会変動の観点から分析し、環境問題としての「水の汚染」と湖沼のレクリェーションの拡大が既存の内水面漁業にいかなる影響を及ぼしているのか事例的に明らかにするものである。事例としては、リゾート開発が進む福島県会津地方の磐梯山周辺地域とし、今年度は、猪苗代湖を対象に研究・分析を行った。今年度の研究の実施内容および成果としては以下の通りである。 1、磐梯山周辺地域の開発状況および福島県による猪苗代湖の開発利用計画の把握。 県では「猪苗代湖水面利活用基本計画」を1994年に立案し、湖水レジャーの施設整備、湖水漁業とレジャーの共存を軸に猪苗代湖の開発整備を計画しているが、現実にはほとんど進んでいないことが判明した。 2、猪苗代湖の漁業実態と環境問題、湖水レジャーの影響を把握するために、次の調査研究を行った。 (1)猪苗代湖・秋元湖漁業共同組合の資料収集と分析、役員関係者へのインタビューの実施。 (2)刺し網や投網などの漁業を行っている漁協組合員の聞き取り調査の実施。 (3)漁協組合員へのアンケート調査の実施。 以上の結果、まず、猪苗代湖の魚が近年減ってきていること、その背景には猪苗代湖の汚染があり、漁協組合員の眼から見るとゴミや透明さなどの体験的事実としての汚染がかなり進んでいること、モーターボ-トや水上バイクなどによる漁業被害が顕在化していることが明かとなった。また、組合員の意識としては、猪苗代湖の汚染の原因が磐梯山周辺の開発、増加する観光・行楽客、そして、家庭雑排水にあるということを示唆する。
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