1995 Fiscal Year Annual Research Report
日本の学校数学における中学2年生の証明観の変容に関する記述的研究
Project/Area Number |
07801035
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮崎 樹夫 筑波大学, 教育学系, 助手 (10261760)
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Keywords | 証明 / proof / 相対的真理観 |
Research Abstract |
1.本年度の目標は,次の二点であった。 目標a:数学の相対的な真理観に基づく証明教材を開発するための理論的整備を行う。 目標b:数学の相対的な真理観に基づく証明教材を開発する。 2.目標aに関する研究実績の概要は以下の通りである。 (1)数学の相対的な真理観に基づく証明教材や証明指導に関する先行研究を整理した結果,相対的な真理観は命題の真偽が前提の取り方に依って定まることであるが,中学校の証明指導に相対的な真理観をそのまま導入することには限界があり,生徒自身が証明に必要な前提を定めてもよいという着想を導入できることができることがわかった。この着想により,証明の前提が平行線の性質や三角形の合同条件に限定されなくなるので、証明構成の自由度と可能性が飛躍的に増すことになる。 (2)証明の意図されたカリキュラムの水平的考察として,中学校数学科用の教科書6社分に関して,中学校2年の証明指導の導入部分を分析した。その結果,どの教科書でも,証明の定義で既に正しいと認めたことを前提としてよいとしていながら,その後に証明に使ってもよい前提を定め直しており,定義に矛盾すると判断されかねない展開になっていることがわかった。 (3)証明の意図されたカリキュラムの垂直的考察として,戦後の学習指導要領における証明指導の位置づけを分析した。その結果,昭和33年の改訂後,今日とほぼ同様な形で中学2年から証明指導が行われるようになり,昭和44年の現代化カリキュラムで証明が、「集合・論理」領域に位置付けられ図形と数・式の両領域が視野に入れられていた他は,主として図形領域に位置付けられ続けてきたことがわかった。 (4)相対的な真理観の着想を証明指導に取り込むには,生徒自身が証明に必要な前提を探し出すことを可能にする作業環境が必要である。その環境としてコンピュータ作図ツール数種類を比較した結果,推論機能を持つカブリジオメトリが適切であることがわかった。 目標bに関しては次年度にその達成を目指す。
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Research Products
(1 results)