1995 Fiscal Year Annual Research Report
1550年から1700年に至るルター聖書の諸版における書記法・形態論的変遷-コンピュータによる基礎的研究
Project/Area Number |
07801070
|
Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
高田 博行 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (80127331)
|
Keywords | ルター聖書 / 正書法 / 書記法 / 形態論 / ドイツ語史 / 初期新高ドイツ語 |
Research Abstract |
まず,ドイツの3つの図書館に文献複写を依頼することによって,旧約聖書からは「創世記」,新約聖書からは「ヨハネによる福音書」の部分を,1550年から1700年に至る約50の版のルター聖書(Wittenberg版,Luneburg版,Nurmberg版,Frankfurt a. M. 版,Straβburg版など)について収集することができた。前半の時期(1500年〜1625年)の聖書を工藤が,後半の時期(1626年〜1700年)の聖書を高田が,調査・分析の対象とした. これらの各版における言語的修正の事例を相互に比較して,書記法および形態論に関する言語的修正の用例を収集し,これらの用例をそれぞれの修正のパタンや環境とともにパーソナル・コンピュータに入力する作業を始めた.萌芽的研究である本研究としては,いまだ最終的な結論に至ってはいないが,次の事項を中間的結論として挙げることが可能である: 1.ルター自身による最終版(1545年)と比べて,その後のルター聖書は書記法と形態論に関して,漸進的にではあるが体系的な改変を被った.具体的には次の通りである. 2.dasとdaβ,またuとv,iとjとの書記法上の区別は,17世紀の中葉に行われた. 3.sollt, Himmelのような二重子音の表記は,17世紀後半に浸透した. 4.動詞の強変化から弱変化への変更は,17世紀に入ってから行われ始めたが,17世紀末にあってもまだ古風な強変化の事例が少なからず見られる. 今後,高田と工藤の間で議論と討議を重ねながら,さらに分析作業を進めて,ドイツ標準語形成史におけるルター聖書のドイツ語の役割の解明を行いたい.
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Hiroyuki Takada: "Grammatische Anderungen in den Lutherbibeln des 17. Jahrhunderts" Gesellschaft, Kommunikation und Sprache Deutschlands in der fruhen Neuzeit. Hg. von K. J. Matheier und M. Ono, Wiesbaden.(印刷中). (1996)
-
[Publications] Hiroyuki Takada: "Orthographische Vorschrift und Praxis im Barock. Zum Anteil der Grammatiker an der schriftsprachlichen Norm." Zeitschrift fur deutsche Philologie(Berlin: E. Schmidt). 115(印刷中). (1996)
-
[Publications] Yasuhiro Kudo: "“Du woltest komen, vnd deine Hand auff sie legen." Zum konjunktivischen Gebrauch von “wollen" “sollen" “werden" in der Lutherbibel." Gesellschaft, Kommunikation und Sprache Deutschlands in der fruhen Neuzeit. Hg. vonk. J. Mattheier und M. Ono,1 iesbaden.(印刷中). (1996)