1996 Fiscal Year Annual Research Report
遷移放射を利用したニュートリノ磁気能率測定法の開発
Project/Area Number |
07804018
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Research Institution | National Laboratory for High Energy Physics (KEK) |
Principal Investigator |
作田 誠 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助教授 (40178596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 逸夫 岡山大学, 理学部・物理, 助教授 (90133024)
白井 淳平 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助手 (90171032)
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Keywords | ニュートリノ / 遷移放射 / 磁気能率 |
Research Abstract |
本研究代表者が提案した磁気能率による遷移放射反応ν→ν+γは、次の様なユニークな特徴を持っている。(a)反応確率は1境界を横切る毎に10^<-12>(μ/μB)^2,(b)放射エネルギー分布は、0〜γωpまで確率一様、(ωpは物質膜のプラズマ振動数〜20eV)、(c)放射エネルギー分布は、ニュートリノの質量の情報(γ=E/m)をあらわに含む。ニュートリノビームとしては原子炉(Eν=1-10MeV)を使うのが強度とエネルギーの点で一番有利であると考えられる。将来的には、JHP計画でパルス化したニュートリノビームを使う事も検討する。検出器としては、3m×3m幅のマイラーシートを1mm間隔に約50枚(約5cm巾)集めたものと約1cm厚のシンチレータに直径0.8mmのウェイブシフタ-ファイバー埋め込んだものを2層(全部のシンチレータの厚み2cm)の組み合わせを1セットとして、これを100組み合わせた検出器を検討している。ここで重要な点は、遷移放射過程ν→ν+γのγ線の方向とエネルギーの再構成ができるかである。特に遷移放射γ線は超前方にのみ放射されるので、方向性の分解能はバックグランドの分離のために重要である。また、放射エネルギー分布はニュートリノの質量の情報(γ=E/m)をあらわに含むので、エネルギーの再構成はさらに重要である。これらのためには、2重コンプトン散乱をシンチレータで測定される反跳電子のエネルギーと位置から再構成する必要がある。今の所、検出効率は48%、エネルギー分解能14%が得られている。ここで出した結論はシンチレータのエネルギー損失のみを考慮した結果である。角度分解能は電子の方向をも測定できれば2度の分解能が得られる。1年間のデータ収集でμν〜5×10^<-9>μB程度の可能性がある。
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