1996 Fiscal Year Annual Research Report
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07804020
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
上田 和夫 東京大学, 物性研究所, 教授 (70114395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紺谷 浩 東京大学, 物性研究所, 助手 (90272533)
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Keywords | 磁気構造 / 半金属近藤格子模型 / デビルズ・ステアケース / フラストレーション / CeSb / RKKY相互作用 / フリーデル振動 / 大きなフェルミ面 |
Research Abstract |
現在までに知られている磁性体の中でもっとも複雑な相図を示すことで良く知られているのはCeSbである。磁場-温度平面での階段状の複雑な相図はデビルズ・ステアケース(悪魔の階段)と呼ばれている。CeSbに限らず一般のCeX(X=P,As,Bi,Sb)で程度の差はあれ、複雑な磁気相図が見られることは、この現象の背後に一般的なメカニズムが存在することを示唆している。CeXがその他のセリウム化合物とことなる特徴は、この系におけるキャリアーの数が大変少ないことで、CeXは少数キャリアー系と呼ばれている。CeXのキャリアーはΓ点のホールとX点の電子からなり立っている。このような、半金属ではそれぞれのキャリアーに対する近藤結合に加えて、電子からホールへ遷移する際にf電子とのスピン交換を伴うプロセスが可能になる。この非対角的交換相互作用にともなう運動量変化は反強磁性波数ベクトルに対応するから、この非対角相互作用は反強磁性的に働くことになる。対角(バンド内),非対角(バンド間)交換相互作用にもとづく二種類のRKKY相互作用の間のフラストレーションがCeXで見られるデビルズ・ステアケースを理解する鍵と考えられる。当研究課題での研究によりこの考えが正しいことが、簡単な一次元モデルを用いて検証された。 このRKKY相互作用は、局在スピンによって誘起される磁気的フリーデル振動がその起源である。その詳細を調べるため、近藤格子モデルに対する密度行列繰り込み群のプログラムを開発し、常磁性における電荷およびスピンのフリーデル振動を観測することが出来た。その周期から、近藤格子の常磁性相では、フェルミ波数が伝導電子の密度に局在スピンの数を加えたもので決まっている、すなわちフェルミ面が大きいことが明らかになった。
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[Publications] K.Ueda: "Devil's Staircase in Kondo Semimetals" Physica B. 223&224. 426-428 (1996)
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[Publications] N.Sibata: "Neel Orders,Haldane Gap and Kondo Spin Liquid Phase in the Anisotropic Kondo Chain" Physica B. 223&224. 363-365 (1996)
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[Publications] N.Shibata: "Spin and Charge Gaps in 1-D Kondo Lattice Model with Coulomb Interaction between Condiction Elecrtons" Phys.Rev.B. 53. R8828-R8831 (1996)
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[Publications] N.Shibata: "Friedel Oscillations in the One-Dimensional Kondo Lattice Model" Phys.Rev.B. 54. 13495-13498 (1996)
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[Publications] N.Shibata: "Large Fermi Surface of the One-Dimensional Kondo Lattice Model Observed by Friedel Oscillations" Physica B(in press).
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[Publications] K.Ueda: "Kondo Lattice Model-A Perspective of Heavy Electron Phenomena-" Physica B(in press).