1996 Fiscal Year Annual Research Report
圧力制御によるリゾチームの結晶化機構に関する基礎的研究
Project/Area Number |
07804036
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Research Institution | RITSUMEIKAN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
澤村 精治 立命館大学, 理工学部, 助教授 (10167439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 稔 立命館大学, 理工学部, 講師 (00241258)
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Keywords | 圧力 / リゾチーム / 結晶 |
Research Abstract |
前年度調べた溶解平衡条件に関する成果をもとに、25℃、pH4.7、沈殿剤として5%wtNaClを用いてリゾチームの溶解度すなわち析出平衡条件を、一回の測定を数十日のスケールで調査した。その結果リゾチームの初期濃度が100mg/ml以上では沈殿剤の混合直後に析出してしまい、それ以降40日間濃度は一定値を示し、1000気圧でも同じ濃度を示し、圧力効果が見られなかった。またその濃度は後述する溶解度値の半分以下であり析出したリゾチームの状態に何らかの問題があると考えられる。初期濃度を50mg/mlにすると、常圧では4日でほとんど析出は終わるが、1000気圧では2週間の間濃度が減少を続け、2000気圧では3週間後から析出を始めた。その後いずれの圧力でも、溶液の濃度は(非常に緩やかな減少を続けるが)ほぼ一定値となった(45日まで測定)。この時期には明確な結晶も現れているので、この濃度を溶解度と見なすと、常圧で7mg/ml、1000気圧で12mg/ml、2000気圧で20mg/mlと溶解度が圧力とともに上昇することが明らかになった。初期濃度を20mg/mlにすると常圧でも結晶析出が始まるのに10日を要し、500気圧では40日間の測定中結晶が析出しなかった。以上のことから、(1)蛋白質のような複雑な高分子では析出に際して過度な析出条件を与えると結晶そのものが複雑な様相を呈し、溶解平衡としての取り扱いを複雑にすること。(2)結晶を析出させるためには適度な初期濃度で始める必要があること、(3)析出速度は加圧とともに小さくなること、(4)溶解度は加圧とともに上昇すること、が明らかになった。
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[Publications] 巻本彰一: "ズブチリシンBPNの熱および圧力変性機構" 材料. 45. 247-279 (1996)
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[Publications] 中井武裕: "Effect of Pressure on the Viscosity B Coefficient of Cesium Chloride in water" Material Sci. Res. Int.2. 143-147 (1996)
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[Publications] 文野浩一: "Temperature Effects on the Rotational Motion of the Coordinated D_2O molecules in CsBr aqueous Solutions Studied by NMR Spectroscopy" Material Sci. Res. Int.2. 54-60 (1996)
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[Publications] 古賀精方: "Normalized Fluctuations,H_2O vs n-Hexane : Site-Corelated Percolation" J. Chem. Phys.105. 2028-2033 (1996)
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[Publications] 中井武裕: "298.2Kにおけるハロゲン化アルカリ水溶液の高圧粘性挙動" 材料. 45. 280-285 (1996)
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[Publications] 瀬戸倫義: "NMR Studies on Dynamic Structure of Hydrated Water Molecules in Alcohol-D_2O Solutions" J. Mol. Liquids. 70. 1-9 (1996)
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[Publications] 谷口吉弘: "近赤外分光法" 学会出版センター, 119-126 (1996)
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[Publications] 谷口吉弘: "Catalysts,Polymeric (Pressure Effects),Polymeric Material Encyclopedia" CRC Press Inc. Vol.2, 999-1004 (1996)