1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07804054
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
手塚 修文 名古屋大学, 情報文化学部, 教授 (10109316)
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Keywords | 近紫外光 / 硝酸還元酵素 / アントシアニン / フラボノイド / ビタミンC / クロロフィル / 光合成 / 根粒 |
Research Abstract |
太陽光の全波長域を透過するビニールフィルムおよび太陽光の全波長域から紫外線のみをカット(不透過)するビニールフィルムでそれぞれ被服したビニールハウス(+UV区および-UV区)を設置して、そこで生育した植物に及ぼす太陽光紫外線(主に近紫外光)の作用を解析した。+UV区では、発育初期に伸長生長の抑制・肥大生長の促進、生育の進行に伴って伸生成長も促進された。-UV区における、ナスの果実や茎・葉柄・葉脈ではアントシアニンが合成されず、葉では病害虫による被害も顕著であり、下位葉の老化も早かった。また、太陽光の紫外線によって、クロロフィルのa+b含量増大・a/b比減少(つまりbの割合増大)、光合成・呼吸活性および硝酸還元酵素(すなわち、炭素代謝系および窒素代謝系の活性)が促進されること、さらに、蛋白質含量も増大し、その量だけでなく質的にも差異が生じることが(SDS-PAGEにより)明らかになった。この質的に異なる蛋白質をウエスタンブロッティングによるN末端のアミノ酸の同定を試みたが、恐らくアミノ酸がアセチル化あるいはピログルタミル化などによってフェニルイソチオシアネート(PITC)と試薬反応をしなかったものと思われ、N末端のアミノ酸の決定は現在成功していないが、目下検討中である。さらに、UVはピ-マン果実のビタミンC含量、イネの個体あたりの穂数・頴果粒重を増大させた。エンドウのグロースチャンバー(太陽光紫外線波長域の照射有無条件)内の実験系ではUV照射により、草丈、新鮮重、根粒数およびフラボノイド含量が増大した。さらに太陽光紫外線により特異的に発現する蛋白質および代謝系の変動との関係を生化学・分子生物学的に解析中である。以上の結果より、現在、地表に到達している太陽光紫外線の波長域・放射量は、植物の生長および生理作用に対して悪影響どころか、むしろ必須要因であると結論づけられる。
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