1996 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波Nプラズマを用いたGaNバルク単結晶の育成
Project/Area Number |
07805032
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Research Institution | Yamaguchi Unversity |
Principal Investigator |
甲斐 綾子 山口大学, 工学部, 講師 (50253167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 常正 山口大学, 工学部, 教授 (90101279)
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Keywords | 窒化ガリウム / マイクロ波プラズマCVD法 / 窒素プラズマ / 結晶成長 / フォトルミネッセンス |
Research Abstract |
昨年度の研究結果より,原材料に不純物を含まないマイクロ波プラズマCVD法を用いた場合,成長したGaN多結晶は室温で自由励起子発光が観察される高純度な試料が得られることが明かとなった.今年度は,(1)マイクロ波CVDプラズマ装置の石英管中へAlNセラミックス基板と金属GaとZnを挿入し,マイクロ波Nプラズマ励起によりp型GaN:Znの成長を試み,次いで(2)高品質化へのアプローチとしてプラズマ制御が容易なアプリケーター装置を構成し成長実験を行った. マイクロ波出力500WでGaN:Znの成長を行った場合、窒素プラズマ中には,3種類の励起種-N原子,N_2分子(B^3Π_g→A^3Σ_u^+,C^3Π_u→B^3Π_g),N_2^+イオン(B^2Σ_u^+→X^2Σ_g^+)の遷移に加えて,Ga原子,Zn原子の遷移による発光が観察された.AlN上に成長した結晶はX線回折の結果GaN多結晶であった.4.2Kでのフォトルミネッセンスでは,357.1nmに中性ドナーに束縛された励起子発光(I_2ライン)と360.7nmに中性アクセプタの束縛励起子(I_1ライン)によると考えられる発光が観察された.これより本方法によりGaNへのp型ド-ピングが可能であることがわかった. 長時間高出力が可能なアプリケーター装置の窒素プラズマ分光では,前述した3種類の窒素励起種が観察された.これらの発光強度は出力とともに増大,また1.2〜20Torrの圧力範囲では4Torrで最大となった.しかしながら,プラズマ中に金属Gaを挿入した場合,950Wの高出力においてもGa原子に起因する発光ピークは出現しなかった.また,基板上にはGaNの成長はみられず,金属Ga表面が窒化されるにとどまった.以上の結果及び前年度との比較検討によりGaN結晶成長にはGa原子が関与しており,Ga原子の出現は窒素によるスパッタ以上に熱エネルギーによる励起が支配的であると考えられる.
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