1996 Fiscal Year Annual Research Report
近代都市成立期における居住地管理システムの変容と再編に関する研究
Project/Area Number |
07805056
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
増井 正哉 奈良女子大学, 生活環境学部, 助教授 (40190350)
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Keywords | 居住地 / 町内 / 都市祭礼 |
Research Abstract |
近世都市においては、いわいる「町」共同体が居住地管理の中心的役割をになってきた。空間的制御、社会的規制、生活管理などである。「町」共同体のもっていた居住地管理機能の大半は、都市の近代化の中で失われていった。本研究では関係の史料の分析と実状の調査から、「町」共同体がどのように変質したかを明らかにした。研究対象としたのは、京都祇園祭に山や鉾をだす、いわいる「山鉾町」である。山鉾町の「町」共同体は、近世における「町」共同体の一般的性格のほかに、祇園祭の祭礼運営主体としての性格をあわてもっていた。明治にはいると、他の地域の「町」共同体と同じように、前者の性格は弱まり、後者の性格が重要になってくる。しかし、ここにひとつの矛盾が生じた。すなわち、明治以降の「町」共同体が、家持借家をとわない地縁的組織であるのに、祭礼の運営主体は、それまでの経緯(山鉾・町会所の出資、運営費用の負担etc.)から、あくまで旧家持層に限定されたからである。いきおい、両者は乖離の方向へ進む。具体的きっかけとなったのは、町会所の売却問題である。明治以降、町会所は、地縁的共同体のための施設としての役割はなく、ただ祭りのための施設となっていたが、その管理のために、祭礼運営主体となった「保存会」が財団法人化されたのである。ここに「町」共同体が地縁的組織である「町内会」と「保存会」に明確に分離したのである。町会内の居住地管理機能は、ゴミ処理etc.の身近な問題に限られたが、近年、いわいるマンション建設問題なので、その新しい役割が問われている。本研究では町内会の法人化問題もふくめ、将来的な問題も検討している。
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