Research Abstract |
クロロメチルビニルシランおよびボラン・硫化ジメチル錯体との反応により得られるボラン・メチルシランモノマー(Si-B-C-H)を、アンモニアと反応させることにより,今までに合成されていないボラン・ポリシラザン(Si-B-C-N-H)高分子を作成した.得られたボラン・ポリシラザン高分子を三次元架橋させて不溶性にし,粉砕,成形した後,不活性雰囲気中で熱分解することにより,今まで合成が試みられていない新しいセラミックス(Si-B-C-N)を合成した. 合成された有機高分子の化学構造を,赤外吸収スペルトル法および格子振動の計算により明らかにした.ポリシラザンのホウ化反応,不飽和結合のハイドロボレーション,あるいはSi-B-C-H高分子のアンモノリシスなどの反応を用いて,Si-B-C-N-H高分子を作製した.アルゴン中での熱処理,1323K,4h(昇温速度;40Kh^<-1>)によりセラミックスが合成された.化学分析により高分子およびセラミックスの組成を調べた。FT-IRおよび格子振動計算により高分子の構造,そして構造変化を調べた.FT-IRおよび格子振動の計算結果より,合成されたSi-B-C-N-H高分子中のボロンサイトはBN_3またはBC_3の構造を有することがわかった.化学分析により高分子組成を調べた結果,Si(43〜22wt%),B(0〜13wt%),C(25〜39wt%),N(19〜32wt%),H(7〜4wt%)の組成が得られた.熱分解法によりこれら高分子から作製されたセラミックスの組成は,Si(58〜31wt%),B(0〜18wt%),C(14〜38wt%),N(12〜31wt%)であった.しかし,FT-IRおよび格子振動の計算のみでは構造変化の評価が不十分であり,核磁気共鳴吸収法を用いてSi,B,C原子の回りの結合状態を調べ,特に^<29>Si-CP MAS NMRの結果,SiN_4,SiCN_3,SiC_2N_2などの結合が混在している非晶質であることが明らかになった.同Si-B-C-N非晶質セラミックスの電気伝導度および熱起電力測定の結果,伝導機構はHoppingであり,pおよびn型の半導体であることがわかり,p-n接合により熱電変換特性が期待できることが本研究の結果示された.
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