1996 Fiscal Year Annual Research Report
粉体の電熱爆発による難焼結性ホウ化物セラミックス複合溶射皮膜合成プロセスの開発
Project/Area Number |
07805066
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田村 英樹 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (30188437)
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Keywords | 溶射 / 高融点セラミックス / 放射爆発 / 電熱爆発 / ジェット |
Research Abstract |
耐熱性ホウ化物セラミックスを用いた複合溶射皮膜を合成するために粉体の電熱爆発を利用した、新しい溶射プロセスを開発することが本研究の目的である。また、本プロセスの規模の拡大に必要な実験手法を見いだすことも目的に含まれる。 ホウ化ジルコニウム粉体の電熱爆発と溶射の状態を高速度カメラを用いたシュリーレン法により観測した。また、粉体に印加された電圧と流れる電流の変化を測定し、それを基に粉体に加えられた電気エネルギーを算出した。その結果、粉体を溶融するために必要な理論値の2〜3倍の電気エネルギーが加えられ、その際に、溶融した液滴群と高密度の気体からなる高速ジェットが発生することを発見した。その速度は秒速3000mに達することが分かった。また、気体の温度は7000K以上と見積もられ、既存の溶射法に比べて本溶射法におけるジェットの速度と温度はともに大きいことが分かった。得られた溶射皮膜の形態を調べたところ、空孔やラメラ構造が見られず、基板の表面層(約50μm)と混合することを発見した。3000K以上の融点を持つセラミックスをサ-メット化せずに単体で使用し、その溶射状態と得られる溶射皮膜は既存の溶射法では得られないものであることを明らかにした。 コンデンサーバンクを電源として用いることで溶射の規模の拡大を試みた。現有の大型真空容器に適した大電流用大型電極を作成して真空容器に設置した。ホウ化ジルコニウム粉体を試料として溶射実験を行った。その結果、ジェットの噴出量の増大にともなう運動量の増加のための試料容器本体の反動を抑える治具の必要性を見いだした。また、大規模溶射に適した試料容器の形状を見いだした。今後の研究の展開に有用な知見を見いだすことができた。
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[Publications] 河野上正晴、他4名: "粉体の電熱爆発溶射III:高速度溶射のその場観察" 第5回溶射総合討論会講演概要. 1-2 (1996)
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[Publications] 池田吉謙、他4名: "粉体の電熱爆発溶射IV:炭化物等の耐熱セラミックコーテイング" 第5回溶射総合討論会講演概要. 3-4 (1996)
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[Publications] Hideki Tamura: "Zirconium Boride and Tantalum Carbide Coatings Sprayed by Electrothermal Explosion of Powders" Journal of Thermal Spray Technology. 第6巻. (1997)
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[Publications] 池田吉謙、他4名: "粉体の電熱爆発による高温・高速ジェットの発生" 平成8年度衝撃波シンポジウム講演論文集. (1997)
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[Publications] 雙田飛鳥、他4名: "高温・高速ジェットによる高融点炭化物セラミックスコーテイング" 平成8年度衝撃波ジンポジウム講演論文集. (1997)