1995 Fiscal Year Annual Research Report
単一出芽酵母細胞への遺伝子導入・発現とパッチクランプ法による活性測定装置の開発
Project/Area Number |
07806011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢部 勇 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (90111575)
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Keywords | 出芽酵母の巨大化 / パッチクランプ / ゲノムの多コピー / 接合型遺伝子座 |
Research Abstract |
筆者等は、遺伝子操作・解析法が完成の域に達している微生物細胞において、その単一細胞を巨大化し、生きた試験管として利用するための基礎的な研究を続けている。これまでに、変異株を用いず培養条件のみの工夫により、大腸菌・枯草菌・出芽酵母においてその細胞径を直径で10倍程度巨大する方法を開発に成功している。巨大化した出芽酵母(S.cerevisiae)で、以下の結果を得た。 1、細胞内にゲノムが多コピー存在する。 一倍体細胞(X2180-1A)を巨大化してPIで核染色してところ、一倍体細胞にも関わらず最大6個の多数の核が一個の細胞内に存在し、しかも核内のゲノムのコピー数が最大4コピー存在することを、共焦点レーザー走査顕微鏡で観測した。 2、細胞内へ蛍光色素をマイクロインジェクションできる。 細胞の巨大化に伴い液胞も巨大化するが、その液胞内に蛍光色素をマクロピペットによりマイクロインジェクショントすることに成功した。 3、プラスミド上の遺伝子を誘導発現できる。 Gall promotor下流にGreen Fluorescent Protein(GFP)を融合したプラスミドを導入した細胞を巨大化したところ、ガラクトース培地でのみ細胞質領域内に緑色蛍光が観測され、GFPが誘導発現したことを細胞一個のレベルで確認した。 4、ゲノム上の接合型決定遺伝子座(MATa/α)をPCRで増幅し、その量比を定量的に評価できる。 V type H^+-ATPaseの変異株を巨大化して、その液胞膜上のH^+-PUMP活性が測定できる。 液胞膜上に存在するV type H+-ATPaseのcatalytic subunitを欠損した変異株が巨大化でき、その液胞膜上に野生株と同様にElectogenetic anion uniporterは存在するが、ATP induced currentは存在しないことをパッチクランプ法により確認した。 以上の結果により、細胞内へHOエンドヌクレアーゼを導入してゲノム上のMAT座遺伝子の組換活性を評価したり、部位特異的変異遺伝子を導入したイオン輸送蛋白の活性をパッチクランプで評価できる見通しがついた。
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