1995 Fiscal Year Annual Research Report
環境保全を主眼としたムラサキイガイを用いた新しい観点からの化学生態学的研究
Project/Area Number |
07806014
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
衛藤 英男 静岡大学, 農学部, 教授 (10076747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 修治 静岡大学, 農学部, 助教授 (90230979)
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Keywords | ムラサキイガイ / 海洋付着生物 / 防汚物質 / 付着忌避 / 付着誘引 / 忌避試験法 / 誘引試験法 |
Research Abstract |
海水中でのムラサキイガイの足糸の数によって付着忌避および付着誘引活性を検索する方法を開発した.この方法は海水中に溶け込んでいる物質の活性の判定ができることから,従来研究が難しかった生態における化学物質の簡便な検索にも応用可能であった. 1.ムラサキイガイの足糸数を用いる付着忌避および付着誘引物質探索法の開発---ムラサキイガイを厚紙に4-5cmの間隔でゴム片を介して固定した.それを各種化合物(100μmol/l)を添加あるいは無添加の海水で充した水槽に沈め,止水状態で,エアレーションさせながら暗所にて,4時間(水温22±2℃)放置した.無添加のムラサキイガイの平均足糸数は8±1本であった.これを100とすると,コウジ酸,EDTA-Fe,KC1,クルクミンでは足糸の増加が観察され,それぞれ160,147,134,125であった.逆に,dl-DOPA,ノニルフェノール,ニコチン酸アミドでは,それぞれ38,20,0であった. 2.ムラサキイガイの付着行動による付着忌避および付着誘引物質探索法の開発---内径5.5cmの塩ビのパイプを適当な長さに切り,その内面にサンプルを塗った厚紙をはめ込んだ.パイプの底を塞ぎ,砂(サンゴ砂,粒径0.2-0.3mm)を1cmの厚さに入れ,海水の流れる水槽に入れた.そのパイプの中央にイガイ一個体を静置した.2日間流水中に放置し,イガイの付着状態を観察した.イガイは壁面に移動し付着した.クルクミン(1μmol/cm^2)を塗布したゾーンは誘引活性を示し,ノニルフェノール(1μmol/cm^2)は付着忌避活性を示した. これらの成果を第4回マリンバイオテクノロジー研究発表会(1995年5月,東京)およびThe First Asia-Pacific Marine Biotechnology Conference(APMBC'95,1995,9,Shizuoka)において発表した.以上のように,平成7年度は初期の目的が達成できた.
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