1995 Fiscal Year Annual Research Report
新規アセチル-CoA水解酵素の病態マーカー酵素としての基礎研究
Project/Area Number |
07807018
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
磯橋 文秀 聖マリアンナ医科大学, 医学部・生化学, 教授 (20115992)
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Keywords | アセチルCoA水解酵素 / クロフィブレ-ド / 低温下失活酵素 / アセチルCoAハイドロレース / 分子解離会合 / 新酵素精製法 / ゲル濾過 / ATP感受性酵素 |
Research Abstract |
アセチルCoA水解酵素はパーオキシゾーム増殖剤であるクロヒブレート投与により誘導を受ける。また、本酵素は室温(25〜30℃)ではATP非存在下では二量体(MW=135000)、ATP存在下では四量体(MW=242000)として存在するが、低温下(0〜4℃)では可逆的に単量体に解離し、失活する。この2つの性質を利用し、本酵素の新しい精製法を開発した。従来はラットを絶食にすることにより本酵素誘導を行っていたが、クロヒブレート投与による誘導がより効果的であることがわかったのでこの方法に切り換えた。また、従来は細胞質画分の調製は、本酵素が極度な低温失活酵素であることを考慮して、すべての操作を25〜30℃で行ってきた。しかし、一旦低温失活した本酵素も、高塩濃度もしくは、高酵素濃度にして加温すると活性を回復することを先に報告した。そこで新精製法では、これらの特性を利用し、室温ではなく低温下で細胞質画分の調製を行った。その結果、従来よりも高活性をもつ粗酵素液を得ることができた。得られた細胞質画分を低温に保持したままDEAE-セルロス、ハイドロキシアパタイトで処理した後、低温下で1回目のゲル濾過を行い分子量50000〜60000付近のタンパク質を集めた。濃縮後、37℃に加温することにより本酵素を二量体に変化させ、ATPアガロースに吸着するタンパク質のみを集め、2回目のゲル濾過を25℃で行った。本酵素はこの時点では分子量135000〜242000の二量体もしくは四量体に変化しているので、混在しているタンパク質(おそらく、分子量60000以下)と容易にわけることができた。この新しい精製法により従来よりさらに効率よく、電気泳動的に単一の酵素標品が得られた。また、ウエスタンブロティング法により、従来法で得られた酵素を免疫学的にも同一であることが明らかになった。
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[Publications] Okamoto, K.: "Immunochemical Characterization of the ATP-Stimulated Glucocorticoid-Receptor-Translocation Promoter from Various Organs of Rat." J. Biochem.115. 862-867 (1994)
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[Publications] 磯橋文秀: "グルココルチコイドレセプターの核結合促進因子とPLPとの相互作用." ビタミン. 68. 760-761 (1994)
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[Publications] 磯橋文秀: "グルココルチコイド受容体のクロマチン結合を調節する新規物質群(促進因子、阻害因子)の分子作用機構" 聖マリアンナ医科大学雑誌. 22. 875-883 (1994)
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[Publications] 磯橋文秀: "ラット肝細胞質アセチル-CoA水解酵素の新しい精製法の開発:パーオキシゾーム増殖剤による本酵素誘導と異なる温度下でのゲルろ過の利用." ビタミン. 69. 719-720 (1995)
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[Publications] Okamoto, K.: "Effect of Macromolecular-Translocation Inhibitor-III on Binding of Activated Glucocorticoid-Receptor Complex to Specific DNA." J. Biochem.119(in press). (1996)
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[Publications] 中村正夫: "高齢者保健福祉研究/高齢者を対象とした院内感染・環境感染に関する研究" (福)川崎市社会福祉事業団(保健福祉研究センター), 24 (1994)