1996 Fiscal Year Annual Research Report
カルシトニン受容体の機能、及びその異常によるヒト疾患の分子病理学的研究
Project/Area Number |
07807023
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Research Institution | Wakayama Medical College, 2nd Department of Pathology |
Principal Investigator |
覚道 健一 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (00112037)
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Keywords | カルシトニン / カルシトニン受容体 / 遺伝子 / 乳癌 |
Research Abstract |
1.ヒト カルシトニンレセプター(CTR)遺伝子のポリモルフィズムについて 昨年度発見したCTRcDNAの1377番目のポリモルフィズムの分布を日本人由来の腫瘍細胞8株と白人由来の腫瘍細胞9株を用いて調べた。その結果、日本人ではCのタイプが、白人ではTのタイプが多く、両者の間には有意な差が見られた。この結果より、CTR遺伝子のポリモルフィズムの分布は人種により異なることが明らかとなった。 2.日本人におけるCTR遺伝子のポリモルフィズムと乳癌との関係についての解析 乳癌の発生にはいろいろなファクターやいくつかの遺伝子が関与していると言われているが,これまで乳腺におけるカルシトニン(CT)またはその受容体の機能についての報告はない.しかしながら,乳癌由来の培養細胞株であるT47DとMCF7でカルシトニンレセプター(CTR)が多量に産生され,実際CTR cDNAのクローニングがT47Dを用いて行われている.さらに、妊娠中や授乳中に血中CTの上昇が見られ、ミルク中のCTも非常に高いことが報告されている。これらのことから,我々は,CTとCTRは乳腺の増殖や分化の調節に関与しているのではないかと考えている.また,近年レセプターのポリモルフィズムと疾患との関係が明らかにされてきている(乳癌とエストロゲンレセプターやビタミンDレセプターと骨粗しょう症など).我々は以前にCTR遺伝子の1377番目にポリモルフィズムが存在していることを報告している.そこで,CTR遺伝子のポリモルフィズムと乳癌との関連について乳癌組織46サンプルと正常組織50サンプル(コントロール)のDNAを用いて調べた.その結果,コントロールと乳癌組織および乳癌患者の血球のCTR genotypeの間で有意な差を認めなかった.さらに,乳癌の組織型について調べた.その結果,PapilotubularとSolid-tubularおよびScirrhous carcinomaのCTR genotypeの間で有意な差を認めなかった.以上の結果より,日本人においてCTRのポリモルフィズムは乳癌発生のための遺伝的リスクとはならないことが明らかとなった.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Nakamura, K.Kakudo et al: "Allelic variants of the Japanese population." Human Genet. 99. 38-41 (1997)
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[Publications] Z Zhang, K.Kakudo et al.: "Late occurrence of K-ras gene mutations in the pathogeneses of squamous cell carcinoma of the lung : Analysis in sputum." Anal Quant Cytol Hist. 18(6). 501-502 (1996)
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[Publications] T Hisa, K Kakudo et al.: "Scrotal Angiokeratoma in a young man." Acta Derm Venereol. 76. 75-76 (1996)
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[Publications] N.Matsuura, K Kakudo et al.: "Induction of experimental bone metastasis in mice by transfection of Integrin α4 β1 into tumor cells." Am J Pathol. 148(1). 55-61 (1996)
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[Publications] Y Morikawa, K Kakudo et al.: "Expression of fibroblast growth factor receptor-1 in human normal tissues and tumors determined by a new monoclonal antibody." Arch Pathol Lab Med. 120. 490-496 (1996)
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[Publications] A Matsuno, K Kakudo et al.: "Clinical and histopathological analysis of proliferative petentials of recurrent and non-recument meningiomas." Acta Neuropathol. 191. 504-510 (1996)