1995 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト肺腺癌発生機構の解析-細胞不死化と癌遺伝子・癌抑制遺伝子の機能
Project/Area Number |
07807027
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
北村 均 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (20094302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安本 茂 神奈川県立がんセンター, 臨床研究所, 室長 (00112342)
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Keywords | ヒト / 末梢気道上皮細胞 / 不死化 / ウィルス癌遺伝子 / SV40 / p53 / がん抑制遺伝子 / テロメレース |
Research Abstract |
1.培養ヒト末梢気道上皮細胞の増殖と分化におよぼす生物学的活性物質の影響: (1)ビタミンAの増殖に及ぼす影響:肺組織からの上皮細胞の増殖・外生はretinol(10^<-8>〜10^<-9>M)添加により促進されたが、継代細胞の増殖は逆に抑制された。 (2)ビタミンAの分化に及ぼす影響:retinol(10^<-5>M)存在下では肺組織からの外生細胞は線毛細胞と分泌細胞に分化したが、非存在下では扁平上皮へと分化した(化生)。ヒト末梢気道上皮細胞の正常な分化にはビタミンAが必要であることが示された。 (3)カルシウムの影響:0.03mMCa^<2+>存在下では細胞の重積化が起こらず、線毛細胞への分化も認められなかった。0.1〜0.3mMCa^<2+>存在下では細胞は重積化し、線毛形成が認められた。線毛細胞への分化は比較的高濃度のカルシウム存在下における細胞の重積化により誘導されることが推測された。 2.ウイルスがん遺伝子導入によるヒト末梢気道上皮細胞の細胞寿命延長効果: (1)lipofection法によりHPV16,18,E7あるいはE7+p21 antisense DNAを導入した細胞は2〜3回の継代が可能で(対照では1回のみ)、細胞寿命の延長を認めた。しかし、その後死滅し不死化には到らなかった。 (2)SV40 DNAを導入した細胞では著明に細胞寿命を延長し、これまで7回の継代に成功している。免疫細胞学的にこれら細胞にp53蛋白の核内蓄積を確認した。一方、telomerase活性は認められておらず、不死化に到達したという証拠は現時点では得られていない。
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