1996 Fiscal Year Annual Research Report
腎不全と微量元素の生体内動態に関する臨床的、実験的研究
Project/Area Number |
07807040
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
槇田 裕之 九州大学, 医学部, 助教授 (30209407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大村 実 九州大学, 医学部, 助手 (50243936)
平田 美由紀 九州大学, 医学部, 助手 (30156674)
田中 昭代 九州大学, 医学部, 講師 (10136484)
井上 尚英 九州大学, 医学部, 教授 (00131904)
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Keywords | 微量元素 / 生体内分布 / 腎不全 / 動物実験(ラット・ハムスター) / 血液透析 |
Research Abstract |
微量元素と呼ばれるヒ素、亜鉛、セレン、銅、クロム、マンガン、アルミニウムなおの生体内の役割について明らかにするとともに、腎不全という病態にどのように関わるかを解明する事を目的として研究を進めた。腎不全透析患者において、これらの微量元素の異常が、腎不全特有の臨床症状とどのようにか関わっているかを検討した。腎不全透析患者では、血清中のアルミニウム、ヒ素などの上昇、亜鉛の低下が認められたが、セレンや銅、クロムなどこの他の微量元素については固体間のばらつきが大きく、腎不全状態下でも微量元素の挙動は一様ではないことが示唆された。また、透析患者の臨床症状と各微量元素との関係も検討してみたが、特定の微量元素の異常と振動覚や味覚、皮膚掻痒感などとの間には有意な相関傾向が見られなかった。 微量元素の生体内分布を明らかにするために、微量元素投与後の臓器試料中に含まれる微量元素の分析、定量を、我々の測定技術が確定しており、アルミニウムと同様の生体内動態を示すと考えられているガリウムについて、ラットを用いて検討した。ガリウムは、肝臓や脾臓では、積極的に取り込まれているが、その他の臓器では能動的な取り込みがあるとは考えられなかった。排泄臓器の腎臓には、かなりの集積が確認されたが、能動的に取り込んだものかどうか、はっきりしなかった。臨床的には、透析患者では、このような実質臓器でのアルミニウムによる障害は確認されておらず、ガリウムだけに特異的なものか否か、アルミニウムも同様な主体内分布を示すのかを検討しなければならないと考えられた。さらに、ヒ素の生体内分布についても、三酸化ヒ素をラットおよびハムスターに投与し検討した。主たる排泄経路は尿であることや腎臓にもかなりの集積が認められた。また、ヒ素は、血清中の濃度と比較して肝臓や脾臓にはより高い集積が認められ、能動的に取り込まれることが推定された。
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