1996 Fiscal Year Annual Research Report
大腸がん危険因子としての飲酒とALDH遺伝子多型に関する研究
Project/Area Number |
07807043
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
村田 紀 千葉県がんセンター, 研究局・疫学研究部, 部長 (90260257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 敏 千葉県がんセンター, 消化器外科, 主任医長
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Keywords | 大腸がん / 飲酒 / アルデヒド脱水素酵素 |
Research Abstract |
飲酒習慣が大腸がんの危険因子となっているか否かを明らかにするために、飲酒やその他の生活習慣に関する簡単な自記式のアンケート調査とアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の遺伝子型検査を併用した症例対照研究を行ってきた。対照群での遺伝子型データを得るための近隣病院での人間ドック受診者を新たに加えた。平成8年度までに、症例群244例(男159、女85)と外来非がん対照群812例(男379、女433)および人間ドック群400例(男360、女40)のアンケート調査を完了した。また症例群145例と人間ドック群187例の末梢血DNAを用いたPCR法による遺伝子型検査も行った。 結腸がん、直腸がん、外来対照群、人間ドック群それぞれの男性における飲酒率は82、83、81、81%と、群間に差はなかった。しかし1回当たりの飲酒量でみると、外来対照群に比べて結腸がん、直腸がんともに飲酒量が多いほどオッズ比が高く、その傾向性は統計的に有意であった。一方、人間ドック群も多量飲酒者が多く、本研究での対照群としては取り扱いに注意する必要がある。ALDH2遺伝子型1/1、1/2、2/2の頻度は結腸がん群で54、39、7%、直腸がん群で69、28、3%となり、前者は日本人一般集団の遺伝子頻度から計算した期待頻度56、38、6%とほとんど差が無く、後者は1/1ホモ個体(アルコール高耐性)が多かった。また人間ドック群も68、29、3%と、有意に1/1ホモ個体が多かった。大腸がんを更に詳細な部位に分けたところ、S字結腸と直腸S字移行部を合わせた群で1/2型ヘテロ個体が有意に多く、またこの群で飲酒量に対するオッズ比の傾向性が最も顕著であった。この群でアルコールの代謝排泄機能の低さが大腸がんの危険因子となっている可能性がある。
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