1996 Fiscal Year Annual Research Report
胸腺発がんのリスク因子としてのマクロファージの加齢変化;年齢依存性と遺伝的要因
Project/Area Number |
07807048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
島田 義也 放射線医学総合研究所, 第5研究グループ, 主任研究官 (10201550)
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Keywords | マクロファージ / 老化 / 胸腺リンパ腫 |
Research Abstract |
癌の発生率は、遺伝的要因や年齢要因などの生物学的要因に大きく依存している。昨年は、B6C3F1マウスの胸腺リンパ腫に着目し、生後2ケ月齢に比べ6ケ月齢以降のX線照射(1.6Gyを1週おきに4回照射)では、その発生率は極めて低いことを明かにした。本年は、生後1週間の若いマウスを同様に照射したところ、胸腺リンパ腫が発生する前に貧血で死亡することが明かとなり、若い時期の発がん感受性を示すことはできなかった。また、胸腺リンパ腫高発系のscidマウスは、6ケ月以内に胸腺リンパ腫が自然発生してくるので、年齢依存性の実験には適さないことも明かとなった。そこで、今後は、2ケ月齢と6ケ月齢のB6C3F1マウスに焦点をあてて解析することとした。 当課題を分子生物学的に解析していくために、当研究室で、分子生物学的手法の導入(サザンブロット法とPCR法)を図った。まず、最初に発生した胸腺リンパ腫のゲノム変異を解析した。その結果、X線誘発の腫瘍は、化学物質で誘発した腫瘍に比べ、ミニサテライト遺伝子の再配列とマイクロサテライト遺伝子の欠失等のゲノム変異が、頻発していることが明かとなり、また、放射線発がんに特異的なゲノム変異も見つかり、今後の発がんリスクの分子疫学に新たなツールを提供すると期待される。 今後は、本課題の目的である胸腺内マクロファージの機能変化を照射後継時的に解析していく予定である。予備的な結果では、胸腺内のマクロファージの数は、胸腺あたり、1000個程度と少ないので、材料が大量に必要であるなど分子生物学的な解析が困難なことも予想されるので、免疫組織学的な方法も合わせて開発する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shimada,Y.: "Heterogeneous aging of macrophage-lineage cells in the capacity for TNF production and self renewal in C57BL/6mice." Mechanisms of Ageing and Development. 87. 183-195 (1996)
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[Publications] 島田義也: "血管新生のメカニズムと疾患" 医薬ジャーナル社, 287 (1996)
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[Publications] 島田義也: "父親被ばくと小児白血病" 原子力安全協会, 156 (1996)