1996 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子調節不全を介する慢性関節リウマチの免疫異常発現機序に関する研究
Project/Area Number |
07807051
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 哲文 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (30092141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沢田 哲治 東京大学, 医学部・附属病院, 医員 (50235470)
當間 重人 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50207528)
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Keywords | 転写調節因子 / 細胞内活性酸素 / 抗リウマチ薬 / アポトーシス |
Research Abstract |
NF-kBは単球・マクロファージ系細胞の活性化やサイトカイン産生調節に重要な役割を果たす転写調節因子である。NF-kBの活性化は細胞内レドックス(酸化還元状態)機構による制御をうけることが知られている。至適条件下では抗リウマチ薬であるD-Penicillamine,Bucillamine,Auranofineは,THP-1(単球細胞株)の細胞内活性酸素量を速やかにかつ著しく増大させ、その増殖能をも抑制した。一方,健常人末梢血を対象にした場合,リンパ球サブセット間でD-Penicillamine,Bucillamineに対する感受性が異なることも判明した。またNF-kB活性は従来の報告どおり,THP-1の核抽出液中に非RIのゲルシフトアッセイにて検出することが可能であった。 本年度はBucillamine(BUC)が銅イオン存在下で,活性酸素産生を介してアポトーシスを誘導するか否かを検討した。銅イオン存在下でのTHP-1に対するBUCの細胞毒性はMTT法およびPI染色法により測定した。またDNAラダーやsubdiploid DNAピークを指標にアポトーシスの有無を検討した。活性酸素の産生と細胞膜透過性の変化はフローサイトメトリーにより評価した。BUCと銅イオンによるTHP-1の細胞死はカタラーゼあるいは赤血球の添加により完全に回避された。銅イオン存在下でBUCはTHP-1にDNAラダーやsubdiploid DNAピークを出現させたが,このアポトーシスに特徴的なDNA degradationの出現に先立ち,活性酸素の産生や細胞膜透過性の変化が認められた。 BUCと銅イオンは活性酸素を介してアポトーシスを誘導した。従って,BUCの作用機序として,慢性関節リウマチで見られる滑膜細胞の異常増殖をアポトーシスにより抑制する可能性が示唆された。
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[Publications] Sawada,Tetsuji: "Generation of reactive oxygen species is required for bucillamine,a novel anbi-rheumatic drug,to induce apoptosis in concert with copper." Immunopharmacology. 35・3. 195-202 (1996)
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[Publications] 広畑俊成: "インドメタシンファルネシルと慢性関節リウマチ患者末梢血単核球の相互作用" 日本臨床免疫学会会誌. 19・2. 136-144 (1996)