1996 Fiscal Year Annual Research Report
結核免疫はマクロファージ内に定着したL型結核菌に担われる
Project/Area Number |
07807063
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
喜多 英二 奈良県立医科大学, 医学部・細菌学, 教授 (90133199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 文子 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (70271202)
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Keywords | 結核 / 細胞内寄生菌 / L型菌 / 細胞性免疫 / BCG |
Research Abstract |
結核初期感染成立後に誘導される免疫の維持が、組織内に定着したL型結核菌に担われるという仮説を実証するために、マウスBCG感染モデルを用いて本研究を実施した。平成8年度は(I)L型BCG定着マウスにおける再燃誘導試験と(II)同マウスにおける再感染抵抗性の解析を実施した。 (I)L型定着60日後のマウスをrecombinant TNF-α (5×10^4単位/日)を3日間隔で4回静脈内投与、若しくはエストロゲン(1 mg/日)を3日間隔で3回皮下投与することで、共に最終処置から14日以内に肺内から親株のBCGが回収された。免疫に用いたBCG株と回収されたBCGのSmal及びNael制限酸素のマッピングは同一であった。エストロゲン投与マウスでは3回目の処置後から肺内にTNF-α mRNA発現増強を認め、血中TNF-α量も増加した。 (II) L型定着60日後のマウスに5×10^6個のBCGを再感染させた後、感染20日後迄の肺内BCG生菌数を比較したところ、感染7日目の肺内菌数は正常マウスと比して有意に減少していた。その後20日目迄、L型定着マウスでは肺内菌数は増加せず漸次減少したが、対照マウスでは著しい増加を認めた。感染後の肺内サイトカインパターンをRT-PCRで解析したところ、L型定着マウスでは再感染初期からTNF-α、IFN-γ、IL-2、IL-12のmRNA発現を認めたが、対照マウスではTNF-α、IL-10、IL-4、IFN-γ及びTGF-β mRNAの強い発現を認めた。 (I)、(II)の実験結果より、L型菌の定着がBCG免疫維持に関与しており、ステロイドホルモンの投与でL型から親株への変異が誘導していること、さらにこの変異がTNF-αの産生増強と相関している可能性が示唆された。
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[Publications] K. Mikasa: "Significant survivol benefit to patients with advanced non-small-cell long cancer from treatment with clarithromycin." chemotherapy. (in press). (1997)
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[Publications] 勝井則明: "気化式加湿器の微生物汚染に関する実験的研究" 空気調和・衛生工学会論文集. 61. 37-44 (1996)
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[Publications] 坂本正洋: "原発性非小細胞癌患者の癌悪皮質に対するclarilhromycinの有用性に関する検討" 日本化学療法学会雑誌. 44. 879-882 (1996)
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[Publications] 三笠桂一: "切除不能原発性肺癌患者に対するclarithramycinの長期投与の生存期間におよぼす有用性" 日本化学療法学会雑誌. 44. 883-889 (1996)
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[Publications] 辻本正之: "経気管吸引法によるHaemophilus Inflvenzae急性呼吸器感染症の臨床的検討" 感染症学会誌. 70. 808-814 (1996)
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[Publications] 喜多英二: "炎症・免疫とマクロライド" 医学ジャーナル社, 6 (1996)
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[Publications] 喜多英二: "KEY WORD 1987〜98 (感染症)" 先端医学社, 2 (1996)